黒柴スポーツ新聞

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本調子ではなかったとしても~ソフトバンク内川聖一のガッツポーズに闘志を見た

島田誠がさかんに訴えていた。ヒットを二千数百本打ったバッターに8番を打たせてはいけない……そう、内川聖一のことだ。もちろん内川は8番だからといって手は抜かない。何番だろうがやるべきことはやる。

ヒットが打てなかった打席でも、最低限の仕事イコール進塁打を放った内川。「一番に手を差し伸べにいったのは松田ですよ。分かってるんですよ」と島田誠。ベテラン同士、勝つために必死にならなきゃいけない状況であることは共通認識としてある。松田宣浩は内川が進めたランナーを返すタイムリーヒットを放った。

内川はこの日6番に昇格していた。勝負を決めた8回には一塁に俊足・周東を置いた場面で打席へ。周東を警戒してオリックス増井は内川に集中できない。盗塁もあり得るため、直球主体になるはず……そのくらいは野球ファンでも分かる。そしてストレートを内川はセンターに打ち返した。これでランナーは一、三塁。さすが内川だなと思ったら池田親興は「ストレートを待って詰まるのは、今の内川の状態を表している」と解説した。確かに内川クラスなら、以前の内川ならばホームランあるいはタイムリーになっていたかもしれない。内川が下位を打たされるのはこのあたりが見極められているのかもしれない。

それでもなお気持ちでセンター前に持っていった内川のバッティングには心を動かされる。チャンスを拡大したソフトバンク中村晃の犠牲フライで勝ち越した。代走を送られてベンチに退いていた内川は飛び出してガッツポーズをしていた。タイムリーにならないあたりが今のソフトバンクの苦しさなのだが、今は勝つことが最優先。勝ち方は二の次だ。内川のガッツポーズにはまだまだ優勝を諦めないという闘志が見えた。

数字的には優勝争いが厳しくなってきたが全員が内川や松田宣浩ばりの闘志を見せればまだチャンスはある。きれいな勝ち方じゃなくていい。ここまできたら一つでも多く勝って西武にプレッシャーをかけたい。ソフトバンクファンもまだまだ諦めてはいけない。


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