黒柴スポーツ新聞

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甲子園のガッツポーズは悪なのか2019~明石商業・狭間監督に賛否両論

数十年、甲子園の熱戦を見ていて初めてだったかもしれない。監督のガッツポーズを見たのは。明石商業の狭間善徳監督。筆者が見たのは1回だけだったが、オトナンサー記事「明石商監督の派手なガッツポーズ話題に…高校野球における敬意を欠かない喜び方とは」には狭間監督がガッツポーズを繰り返していた、と書いてあった。1回だけでもインパクトがあったから、繰り返したとなると確かに話題にはなるかもしれない。

 

肯定か否定かと言われたら筆者は肯定派だ。ガッツポーズを見た時には、おおっ、だいぶ入れ込んでるなぁと確かに思った。だが、甲子園まできて入れ込まない指導者なんているのだろうか。言動が勝利至上主義にならないのであれば、それはその監督や選手たちの人間性が素晴らしいだけだと思う。

 

ガッツポーズは入れ込まないと出てこない。もちろん甲子園出場チームの監督さんたちがこれまでガッツポーズをしなかったのは、見えるようにしなかっただけで、心の中ではそりゃお祭り騒ぎ、よっしゃよっしゃと大喜びしていたに決まっている。狭間監督は素直に感情表現してしまった。筆者が見たガッツポーズは宇部鴻城戦の8回、1死三塁から三塁ランナーを走らせてのエンドランで同点に追い付いた場面。高校野球経験者に尋ねると、軟式野球ではあるよとも聞いたが、まさに作戦がはまったシーン。一か八かだから、狭間監督くらい熱い人がガッツポーズせずにいられるはずがない。喜びが爆発してしまったのだ。

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ガッツポーズも、一律で否定しなくてもよいのではないか。ガッツポーズというよりは、示威行為を慎んだ方がよいと思う。何が違うかというよりは言えば、相手に対してやるかどうか。つまり、身内に対してやる分には喜びの共有だから相手を侮辱する意味はない。

 

それでいうと、今年の夏は出なかったが、2018年の甲子園で吠えまくった創志学園の西純矢投手は少々やりすぎだったかなと思う。彼も感情を素直に出しているのだろうけれど、見方によっては相手を威圧しているように見えてしまう。前述のオトナンサー記事ではテニス選手が相手に対してはガッツポーズしたり大声を出したりはせず後ろを向いてやることが紹介されている。西投手も気合を入れるならセンター方向を向いて吠えたらまだましかなと思う。

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ガッツポーズではなかったが、昨年夏は吉田輝星のシャキーンポーズがご法度となった。あれはチームメイトとの意思疎通だから止められる筋合いはないと思うが、誤解を生むような行動は慎みなさいということだろう。だが筆者は、甲子園という最高の舞台を最高の仲間と楽しんでいる象徴に見えたから、シャキーンポーズは大好きだった。

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狭間監督のガッツポーズも決して相手に対してはこれ見よがしにやっているとは思わない。戦法がはまり悦に入っている面はあるかもしれないが、それは策士だから当然と言えば当然。明石商業などでこれから甲子園の常連、名物監督となれば次第にガッツポーズは減っていく……とはならないか、この熱さでは。

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ちなみに宇部鴻城戦は明石商業がサヨナラスクイズで勝った。崩れ落ちるキャッチャーに声を掛ける明石商業の選手がいた。勝ったからできる仕草にも思えるが、相手を思う気持ちがなければやれるものではない。選手も監督も、ただただ勝てばいい、そんな気持ちだけでやっているわけではないのだと、もう少し信じてあげてもよいと私は思う。


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