黒柴スポーツ新聞

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すべて勝負のつもりでいく~ソフトバンク高橋礼、粘投で初の10勝目

「全て勝負球という気持ちでいった」
8月13日の楽天戦で好投したソフトバンク高橋礼の言葉だ。なぜ勝てたかを端的に表している。

 

先発投手の場合、長いイニングを投げたいがためにアクセルの踏み具合は加減しないといけない。飛ばしすぎたらバテてしまいかねないし、安全運転すぎては狙い打ちされるおそれもある。ソフトバンクは中継ぎが充実しているので高橋礼が「あとはよろしくお願いします!」と思っているわけではなかろうが、いけるとこまではいってみようと思っての「全て勝負球という気持ち」だったかもしれない。

 

この副産物は、相手に「球が走っている」と印象付けられたかもしれないこと。この日の高橋礼はピンチを背負うもことごとく脱出。ウィーラーを投ゴロ併殺打に、銀次をキャッチャーフライに打ち取った場面は素晴らしかった。勝負せざるをえない場面ではあったが、まさに「全て勝負球という気持ちでいった」からこそ打ち取れたのだと思う。

 

言うは易し行うは難し。気持ちが充実していても力が伴わなければ結果は出ない。高橋礼はこれで10勝目。これも立派だが、「3つしか負けてないところが大きい」と工藤監督が言うように高橋礼だけで貯金7だ。孝行息子である。

 

今や球界の絶滅危惧種となった下手投げだが、高橋礼は直球の速さもそこそこあり、久々の本格派下手投げである。ぜひレジェンド山田久志と対談して下手投げ論を熱く語ってもらいたいが、このまま結果を出し続ければ「令和のサブマリン」の称号は間違いない。10勝と言わず、ぜひ最多勝争いにも挑んでもらいたい。


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