黒柴スポーツ新聞

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選手層が厚いと強い~ソフトバンク、首位攻防戦で福田秀平ら5人復帰

シーズンを決定付ける試合になる、かもしれない。ソフトバンクが宿敵の日本ハム・有原航平を攻略。エース対決を制した千賀滉大がリーグトップタイの11勝目を挙げた。これで日本ハムとのゲーム差は4.5になった。

 

ロード9戦を4勝5敗と負け越したが、8月10日は潮目を変えるのに絶好のタイミングとなった。離脱していたグラシアル、モイネロのキューバコンビに加えて川島慶三、福田秀平、中村晃が戻ってきた。試合後、工藤公康監督は「上がってきた選手は早く使いたかった」と話していたが、川島以外は早速出場。それぞれヒットを放ったり抑えたりとチームに貢献してくれた。

 

中でも福田秀平の活躍は光っていた。ラジオ解説の浜名千広がきょうのヒーローに福田を選んだが激しく共感する。ヒーローインタビューは確かに千賀と、決勝打の甲斐拓也でもよいのだが、おかえりなさいという意味でも試合の流れ的にも福田秀平がヒーローインタビューされてもおかしくなかった。

 

 

福田はまだ4点リードされている6回に四球を選んで出塁。そして盗塁に成功。甲斐のタイムリーでホームに帰ってきた。内川、デスパイネにもタイムリーが出て1点差まで追い上げた。福田の出塁が反撃ののろしとなったのは間違いない。

 

7回には1死二、三塁の場面で甲斐拓也がセンターに大飛球をかっ飛ばした。センター西川遥輝は一旦捕球するも(犠牲フライに)グラブからボールをこぼし(エラー)二塁ランナーだった福田秀平までホームインした。犠飛とエラーというプレーは初めて見た。甲斐拓也は打点1が記録され、そのままセカンドに残った。これでソフトバンクは6-4と逆転。打った甲斐拓也はもちろん素晴らしいが、犠牲フライ対応からの一気ホーム生還は経験豊富な福田秀平ならではの激走。センスも含め浜名千広が評価していた。

 

逆転打を喫した有原はマウンドを降りた。結果的に有原は負け投手となり、千賀は一転勝ち投手に。最多勝争いの意味でも、日本ハムがゲーム差を広げられた意味でも、西川のエラーは非常に大きな意味があった。捕ったようにも見えたが、その後こぼしたことで福田がホームに帰るきっかけを作ってしまった。自分の背後で起きたわずかな隙を見逃さず、強い意思でホームに戻ってきた福田の気迫が逆転劇を呼び込んだ、としておきたい。

 

福田は8回にはだめ押しとなる2点タイムリーを放っている。守備でも深い当たりをジャンピングキャッチするなど躍動感いっぱい。この辺りは先輩たちの復帰によりスタメンを外れた上林誠知や牧原大成にもおおいに刺激になることだろう。

 

グラシアル、福田秀平、中村晃が復帰即スタメンで外野は「3枚替え」。出番争いは一気にヒートアップした。場合によっては中村晃が一塁に回り内川を補完する可能性すらある。有原がじわじわ崩れたのはいろんな選手に攻撃されたから、と見ることもできる。ソフトバンクは層の厚さで勝ったとも言えるのだ。

 

逆に日本ハムは勝負どころで西川、清宮、近藤がエラーしていずれも失点に絡んでいる。3連戦初戦にエース有原を立て、3連勝で一気に0.5ゲーム差に詰める……そんなプランが無残にも吹き飛ぶ手痛い逆転負け。ソフトバンクファンですら4点差で有原なら敗戦覚悟だっただけに、日本ハムファンのショックは大きかろう。

 

ただ残り試合はまだある。あす、あさっての直接対決はペナントレースを占う意味で非常に重い。ソフトバンクファンからしたら5人も一気に復帰させないで、一人ずつ丁寧に、なんて思うところだが、ひょっとするとこの日本ハム初戦に一気に畳み掛ける、チームを鼓舞する意味で5人同時復帰プランを作っていたとしたら……。実戦モードになったことで涙を流した柳田悠岐まで戻ってきたらまさに鬼に金棒状態になってきた。やはり選手層の厚いチームは強い。それを実感した一戦だった。


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