黒柴スポーツ新聞

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指揮官のファイティングポーズ~1000勝の原辰徳監督と甲子園出場の明徳義塾・馬淵史郎監督

「朝になれば、今日どうやって勝つか。夜になれば明日どうやって勝つか。そのことしかない」(サンスポ記事より)

監督通算1000勝を飾った原辰徳監督は異例のお立ち台で興奮を隠せないでいた。しかし、1000勝への原動力は思った以上にシンプルなものだった。

原点―勝ち続ける組織作り

原点―勝ち続ける組織作り

 

 

 

勝つために必要なことしか考えない、と言っているようにも聞こえる。これは案外難しそうだ。何せ巨人の監督である。黙っていても、耳を塞いでいても雑音は入ってきそうだ。戦力は充実しているだけに、チームがうまく機能していないとしたら使う側に問題がある、と見られてしまいがちだ。そういう一切合切を乗り越えての1000勝。なにがしかの信念がないと達成できまい。

 

監督通算1000勝は13人目。巨人では川上哲治長嶋茂雄に続き3人目だ。特にあのONを擁して勝ち星を積み重ねた川上哲治をも射程にとらえたのは驚きだ。平成の巨人はかくも強かったのかと思ってしまった。確かに原監督はすでにリーグ制覇7度。名監督と言える。

 

何が優れているのかと言えばやはり勝利への執念ではないか。冒頭の言葉からもそれはうかがえる。執念、と言えば先日甲子園行きを決めた明徳義塾高校馬淵史郎監督からも勝ちへの執念を感じた。事実、馬淵監督は「全身全霊で」決勝に挑んだと振り返っていた。試合中、ベンチの馬淵監督がたびたび映ったが身ぶり手振りからも気合が伝わってくる。口も始終動いていたし、相当ハッパをかけていたのだろう。何せ明徳は昨年夏、高知商業に敗れて甲子園を逃している。馬淵監督にとっては臥薪嘗胆の夏、なのだ。

 

「棚からぼた餅と言うが、突然幸運が降りてくると思うやろ? それは違う。餅が落ちた時に、一番棚に近いやつが拾える。棚に近づける努力をせえ。いつ落ちてくるか分からんと、後ろで腕組みしているやつに幸運は来ない。俺はいつ落ちてきてもいいように努力している。そうすれば、拾えるわけよ」(馬淵監督の言葉、日刊スポーツ記事より)

原監督といい馬淵監督といい、プロ野球高校野球の違いはあれど、常に勝利を目指す姿勢は通じるものがある。思いの強い者が勝つ。あらためてそんなことを感じている。


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