黒柴スポーツ新聞

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顔が浮かぶ存在になる~楽天移籍の和田恋が初のスタメン起用で即ヒット

楽天に移籍した和田恋が7月21日のソフトバンク戦でスタメン起用された。和田は巨人にドラフト2位指名されたが5年間でわずか1安打。巨人の選手層の厚さに阻まれた印象もあるが、そもそもそれをこじ開けてこそプロだ。

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とはいえこのまま今シーズンが終われば和田とて契約してもらえるかビミョーな印象だった。それだけに昨シーズン、ファーム2冠に輝いた和田に楽天が注目してくれたことがうれしかった。トレードでもシーズン途中での場合はチームの弱点補強の意味合いが強い。楽天はピッチャー(古川)を一人出す代わりに、打線に厚みを持たせたかったのだろう。

和田は楽天に移籍後は2軍戦に出場。5試合で21打数9安打、打率4割2分9厘、4本塁打、10打点とすぐに結果が出た。平石洋介監督は和田恋を1軍に呼び、すぐにスタメン起用した。この辺りが期待の現れだし、調子がいいならすぐ使うというのは平石監督が2軍監督経験者だからと分析する人もいた。確かにいくら調子がよくても使ってもらえなければしぼんでしまう可能性がある。人には使い時というものがある。

和田恋はエラーも三振もしたが移籍後初ヒットを放った。プロ5年間で1安打だったのだがチームが変わり1軍最初の試合で打てた。それは和田恋が力を発揮できたということにほかならない。じゃあ巨人での時期が不遇だったかといえばそうではない。巨人にいたことには意味があったし、楽天で活躍することで過去を価値付けてもらいたいと思う。過去をプラス評価するためには今や未来を輝かせるのが手っ取り早い。

 

和田恋は高知高校の出身。クリムゾンレッドではないが、高知高校野球部のユニホームにはえんじが使われている。ちょっと似ている。少なくともオレンジ色よりは。和田恋にとってクリムゾンレッドはラッキーカラーになる可能性があると見た。

和田恋のトレードで実感したのは「顔が浮かぶ」存在になることの大切さ。あれを頼みたい、これをやってほしいと思った時に浮かぶ顔とそうでない顔がある。時としてアイツにやらせてしまえとマイナスの意味で顔が浮かぶ場合もあるが、最悪なのは全くノミネートされない、忘れ去られた存在になることだ。和田恋に食指が動いたのは元々長打力に期待されていたことやファームでの好成績があったからだろう。今回楽天の誰が和田恋に白羽の矢を立てたかは知らないが、もしも和田恋の顔が浮かんでいなかったら一つの才能があっさりプロ野球の世界から消えていたかもしれない。

しかし和田恋は再びチャンスを得た。あとはそれをものにできるかどうか。ちなみに和田恋が楽天で初のスタメン起用された試合には広島から移籍した下水流もいたし、先発は育成契約からはい上がってきた石橋だった。石橋をリリーフしたのは同じく戦力外経験者の久保。ドラマ好きのプロ野球ファンなら泣けてくる布陣だった。私はソフトバンクファンだから彼らをおおっぴらには応援できないが、彼らの再起を陰ながら応援したい。


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