黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

二人の正義~ソフトバンク田中正義は打たれ、塚田正義はタイムリー

復帰登板は思わぬ形でやってきた。和田毅が5回ツーアウトで緊急降板。足に違和感があったようだ。2-2の同点、ランナーは一、二塁。ここで田中正義はマウンドに上がったのだった。

 

2016年ドラフト1位ながら未勝利。即戦力としての期待には応えられてこなかったが2019年は2軍戦で無失点試合を続け、1軍に上がってきた。そしてすぐに登板機会を得たのだが、いきなりピンチでの登板となった。和田毅がアクシデントで降板したのだから、誰でも慌てるだろうが、田中正義も焦ったに違いない。

 

しかし私は気付いた。結果を残せていない人はこういう起用のされ方になってしまうのだ。もちろん、大事に大事に育てるつもりなら例えば回の頭からなどの配慮があろう。しかしもう田中正義は3年目。自力飛行していかねばならない。そして厳しい局面を抑えていかないとお呼びが掛からない。むしろ緊急降板の際に起用されたことを喜ばなければならないのかもしれない。

 

「こういうところを抑えていけば」と解説の松中信彦は言っていた。松田遼馬しかり、椎野新しかり、高橋純平しかり。最初はビハインド、次は同点、そして勝ちゲームでの起用。信頼感を得るごとに活躍のステージは上がっていく。そうやってソフトバンクのリリーフ陣は整ってきた。

 

だが田中正義は踏ん張れなかった。高めに浮いた速球を外崎にとらえられ、2点を失った。その後は何とかしのいだが、続く6回に四球を二つ出したところで交代を命じられた。5回の被安打よりも6回の四球がマイナス評価になったと思う。リリーフはピンチを拡大させる訳にはいかないからだ。

 

松中信彦が言っていたように、2軍で抑えられたとしても1軍はそうはいかない。空振りを取れていた球がファウルまたはヒット、ホームランになる。よりレベルアップしないと1軍では通用しない。本当に厳しい世界だ。田中正義は後半戦も1軍に帯同できるだろうか。同じドラフト1位だった高橋純平も加治屋も平淡な道のりではなかったが、加治屋は昨年大活躍したし、高橋純平は今年ようやく結果が出始めた。田中正義も彼らに続いてもらいたい。

 

そしてもう一人、松中信彦が「こういうところで打てば」と言っていたのが塚田正義。左のテクニシャンぞろいのソフトバンク打線にあって手薄なのが右の代打。塚田は「ここで打てば右の代打の一番手」(松中信彦)と言われた。塚田は2点差で迎えたチャンスに代打で登場。見事にタイムリーを放った。

 

「初球のチェンジアップを打てるとは、準備ができていたということ」と松中信彦。確かにストレート狙いだったら引っかけて内野ゴロだったかもしれない。しかし塚田はレフト前にタイムリーとした。塚田はこれを入れても4安打しか打っていない。まだまだアピールしていかないといけない。

 

田中正義と塚田正義。田中は結果を出せず、塚田は結果が出た。プロ野球選手は結果がすべて。二人が出続けるためにはとにかく抑え、とにかく打たねばならない。ぶっちぎりでパ・リーグを独走するソフトバンクだが、チーム内では出番を求めて切磋琢磨が続いている。勝った負けたも大事だが、いつ、どのタイミングで誰が起用されるのかを見ているのも楽しい。後半戦も出番争いに注目していこう。


野球ランキング