黒柴スポーツ新聞

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持ち味を発揮する~ソフトバンクのデスパイネ、満塁ホームランで和田毅に勝ち星

7月3日のソフトバンク楽天。先発は日本通算126勝の和田毅と124勝の岸孝之だった。和田はリハビリ期間を経ているとはいえ実績、経験十分であり、投手戦が予想された。実際その通りになったのだが、試合はソフトバンクの4番デスパイネのひと振りで決まった。7回、満塁ホームランをスタンドに叩き込んだ。

 

交流戦からグラシアルが絶好調。デスパイネも打ってはいるがグラシアルの陰に隠れる形になっていた。ホームラン17本もいつしかグラシアルや松田宣浩に追いつかれていた。この日の満塁ホームランは和田毅に勝ち星を付けたが、自分自身にとっても大きな一発だったことだろう。

 

グラシアルが好調ならグラシアルを4番にしたらいいじゃないかと思うだろう。実際、そんな試合もあった。だがグラシアルは打率が3割台でチャンスメイクもできるため、今のところ3番が適任だ。

 

 

 

じゃあデスパイネに何を求めているかと言えば打点とホームランだ。ある意味打率は関係ない。この日のようにドカンと打ってくれたらそれでいい。彼はチャンスを刈り取るのが仕事なのだ。

 

交流戦で史上最多8度目の優勝を果たしたソフトバンク。強さの要因は何なのか。巨大な戦力だとかいろいろ言われるが、私は各自が持ち味を発揮できていることだと考えている。明石や福田はチャンスつくる。グラシアルから内川まではチャンスを刈り取る。甲斐から上位まではまたチャンスをつくる……の繰り返し。ピッチャーは先発が試合をつくり、あとは中継ぎがそれぞれ任されたイニングを全うして守護神につなげる……の繰り返し。代走は周東。抑えのキャッチャーは高谷。機動的に選手を送り込めている。

 

みんながグラシアルのように打率もホームランも稼げればよいがそんなにうまくはいかない。かつて石井琢朗の本で3番バッターがずらりと並ぶ打線がいいという話を読んでなるほどな、理想的だなと思ったのだが、今はそれぞれの個性、特性、持ち味をうまくミックスして勝っているソフトバンクの野球に魅力を感じている。よくよく見てほしい。この6連勝中、明石も高田も福田も牧原もいい味を出している。主軸だけで得点しているわけではないのだ。脇役大好き人間にはたまらない。

 

オールラウンダーも魅力的だがそれぞれの持ち味を発揮できている組織は強い。何より雰囲気がいい。ソフトバンクを応援していて楽しいのはそのあたりなのだ。


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