黒柴スポーツ新聞

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必死さが結果を生む~甲斐セーフティースクイズでソフトバンク満塁の呪縛28打席で終止符

意表を突く甲斐拓也のセーフティースクイズソフトバンクがドはまりした、満塁からの無安打という呪縛から29打席ぶりに解放された。

 

さらには代打福田秀平の満塁ホームラン。約1カ月にわたりソフトバンクファンが抱えたモヤモヤを一掃してくれた。かくいう私も福田の一撃には夕飯を食べながら「オーッ!」と吠えてしまった。

 

甲斐のスクイズについてはいろんな記事を漁ってみたが、サインらしきくだりはなし。ラジオ解説の野村弘樹、視察に訪れていた侍ジャパン監督の稲葉篤紀ともに甲斐の発想を誉めていたので、甲斐の作戦勝ちということだろう。

 

産経新聞記事には森ヘッドコーチが「三塁が後ろに下がっているからチャンスだぞ」と打席に向かう甲斐に伝えたことが書かれていた。二死満塁だったからスクイズ失敗となればまたまたネット界隈は騒がしくなり、この日の千賀滉大の続投もなくなり、交流戦優勝の行方も分からなくなっただろうから、スクイズを決めたことは大きかった。

 

同点でも千賀は続投したかもしれないが、福田の満塁ホームランで続投確定。6回はランナーを背負ったもののしっかり坂本勇人から三振を奪って締めた。阿部慎之助にタイムリー、丸佳浩にはホームランを打たれ、球数は要したものの、しっかり試合をつくった。たまには打線がひっくり返して千賀に勝ちを付けるのもいい。

 

プロは結果がすべて。ソフトバンクに満塁機を与えた宮国、満塁ホームランを打たれた森福、とどめの2ランを松田宣浩に打たれたクックはそろって2軍降格。特に森福はソフトバンク時代に満塁での印象的な火消しがあったことから、日テレ中継時に採用されたTwitterでは「ソフトバンク満塁で森福」なんて投稿も見られたが、ソフトバンク同期入団の福田に豪快な一発を浴びてしまった。同期入団同士が十数年後には敵として生存競争を繰り広げる。プロの世界は厳しい。

 

ヒーローインタビューは福田秀平だった。勝利に導く完璧な当たりだったから当然なのだが、個人的には甲斐のお立ち台も見たかった。キャッチャーであるし、一塁へのヘッドスライディングなんて危険極まりないのだが、それでも……という気迫の表れに感動してしまった。一塁へのヘッドスライディングは海亀の産卵ばりになぜか人の心を揺さぶる。とにかく、何とかせねばという気持ちは本当に大事だ。それを再認識させてくれる妙技だった。これで交流戦は10勝4敗2分け。6月22日の巨人戦に勝てば2年ぶり8度目の交流戦優勝が決まるだけに、甲斐のスクイズは貢献度大だった。


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