黒柴スポーツ新聞

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意図を持って打席に立つ~ソフトバンク真砂勇介、目立つ受け身のバッティング

今宮健太の起死回生のタイムリーに心を躍らせた一方で、がっかりしたシーンがあった。真砂の打席だ。延長12回、ドリスの牽制悪送球やらワイルドピッチで無死3塁。サヨナラの準備は整った。

 

ランナー1塁で打席に立った真砂は送りバントを命じられたが、ドリスの一人相撲により打ってもよい状況となった。だが、である。カウント3ボール、ノーストライクから強振したのには驚いた。それが許されるのはグラシアルやデスパイネら主軸だけだ。残念ながら、出塁するよりアウトになる確率がまだまだ断然高い真砂。あと一つボールを選べたら四球でチャンスは広がったのだが、3ボール2ストライクからは低めの見逃せばボールという球を打ちに行き空振り。アウトを一つ献上してしまった。

 

延長12回、長いゲームの分岐点にする気はない。しかし妙に気になる三振だった。真砂はこのような行き当たりばったり(に見えてしまう)バッティングを続けていては、いつまでたっても次のステージには行けまい。解説の浜名千広も言っていた。このボールを見逃せるかどうかなのだ、と。

 

恐らく、だが、川島慶三なら見逃していた。そこが真砂と川島慶三の違いだ。いま何がチームのためになるのか。それが分かり、かつ、判断でき実行できる。だから川島慶三は意図的に起用される。これが3球団を渡り歩き今なお現役でいられる最大の要因だ。

真砂はどうか。来た球を振っていないか。プロ野球選手だからある程度は対処できるだろう。しかしまだまだ1軍での経験が足りない。身体能力がいかに優れていても、効果的に発揮しなければ宝の持ち腐れだ。あの場面、四球で歩けば2盗も狙えた。そこまでプレッシャーをかけられなくとも、アウトカウントは増やさずに済んだ。いやいや、バッターなのだから振らなきゃ、というのであれば、バットに当てなきゃいけない。

 

いま何をすることがチームのためになるのか。振ったけれど当たりませんでした、ではいつまでも確率論だ。打ちにいくならきっちり打つゾーン、打つ方向を意識してスイングしてほしい。2019年シーズンの真砂の打席を見ていると、いつも受け身の姿勢に思えてならない。

 

真砂の打席の最中、スタンドで応援するファンが映ったが、何人もが「真砂勇介」と書かれたタオルを掲げて応援していた。きっと2軍時代から、ひたむきに野球に取り組む姿を見ているのだろう。そんなファンのためにも、意識して打ちにいく真砂の姿を見たい。右バッターが手薄だから起用される、そんな消去法の理由ではなく、真砂勇介を試したい、起用したい、と思わせるバッターになってもらいたい。


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