黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

パフォーマンスか最高の技術か~プロ野球に求められるものとは

熊本でのソフトバンク戦で、日本ハム西川遥輝が観客から傘を借りた。降雨中断中のひとこまで、ほっこりした人も多かったことだろう。翌日、鹿児島でのソフトバンク戦で、今度は日本ハムの近藤健介が外野のファンとキャッチボールした。これまた降雨中断中の出来事だった。

 

「これはファンになりますよね」。アナウンサーが思わずそう言っていた。惚れてまうやろ!というやつだ。プロ野球を見に行ったらプロ野球選手がキャッチボールをしてくれたのだ。おいおい、ソフトバンクが九州移転30年の特別ユニホームでファンへの感謝還元をしている中で、日本ハムがチャチャ入れるんじゃないよ!というのは冗談。たまにはこういうふれあいがあってもいい。これでまた野球を楽しむ人が増えるのだから。

 

最近は送りバント決める度、ヒット一本打つ度にガッツポーズするが、いかがなものか。そんな苦言を山田久志が呈していた。言わんとすることは分かる。最高の技術を見せるのがプロであり、プロにはプロの所作がある、という山田久志の言葉はさすがだし、その通りだなとも思う。

 

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

 

 

 

一方で、今はプロ野球史上最もファンが大切にされているとも思う。特別なユニホームはもらえるし、特別な席に座れたら試合後に選手とタッチできたりもする。女性ファンを特に大切にする日もある。ルールや選手の名前がまだあやふやな人もいっぱいいるだろう。それでもあの生観戦のざわざわした雰囲気や万単位の人たちが一投一打に一喜一憂する様を見て何も感じない人はいないだろう。ましてや目の前でプロ野球選手がふれあってくれたり、キャッチボールしてくれたら「うわ~」と思うに違いない。

 

ここぞという時に最高の技術を見せて、歓声を浴びながら黙ってダイヤモンドを1周するのもカッコいいし、松田宣浩の「熱男!」や山川穂高の「どすこい!」みたいにみんなで盛り上がるのも楽しい。必ずしも通好みのプロ野球じゃなくてもいいかな、と思う。

 

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もちろんただただ騒ぎたいとか盛り上がりたいというのは違うのだが、プロならではのスピードや力強さや飛距離や勝負強さなんかを目の当たりにすれば、そこからプロ野球ファンが生まれていくし、次代のプロ野球選手が生まれてくると思う。

 

山田久志が言うようにいちいち喜ぶかなというようなプレーは、心配しなくとも記憶の彼方に埋没していく。確かに落合博満山田久志は打っても抑えてもガッツポーズは似合わない。それが華だった。古武士のようなプロ野球選手が減っているのも事実だ。それを寂しがる感覚も分からないではないが、人の感情はああしましょう、こうしましょうと他人が決めるものでもない。パフォーマンスに走るだけの選手かどうかは遅かれ早かれ分かることだ。山田久志が言うように、プロが最高の技術を見せなければならないことはいつの時代も変わらない。ファンの感覚を上手に取り入れながら、みんなが楽しめるプロ野球であることを願う。

 

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最後に。このブログ「黒柴スポーツ新聞」は通算700号を迎えた。創刊当初からの読者も、最近興味を持ってくださった方もいらっしゃるが、お読みいただきありがたい限りだ。続けられたのはひとえに読んでくださる方々のおかげ、そしてただただ書きたい一心からだ。たくさんアクセスをいただくと毎回毎回ガッツポーズしてしまうから山田久志に怒られそうだが、1人静かに余韻に浸る夜もある。スポーツブロガーの端くれとして野球界の盛り上がりにちょこっと貢献できたらと考えているので、これからも応援よろしくお願いいたします。


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