黒柴スポーツ新聞

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ダメ押しがゆとりを生む~ソフトバンク内川聖一のしなやかな変身

ソフトバンクが5月16日、連敗を3で止めた。世間的には高橋礼のリーグ最多タイ5勝目や、西武にセーブ失敗をやり返した森唯斗に耳目が集まりそうだが、私は内川聖一に目が行った。さすがに西スポはちゃんと記事にしていたが。内川聖一は8回に試合を決定的にするタイムリーを放ったのだった。

 

稀代のヒットメーカー、内川聖一ソフトバンク移籍後は、いわゆるホームランを期待される4番ではなく、勝負強さで結果を残してきた印象だ。もちろん印象的なホームランも数々あり、特にDeNAとの日本シリーズで守護神の山崎から打った起死回生の同点ホームランはめちゃくちゃ興奮した。さすがキャプテンという勝負強さだった。

 

その内川も年齢的なものなのかコンディションが整わなかったのか、欠場することもしばしばあり、2019年シーズンはキャプテンを外れた。ソフトバンクは戦力が充実し、キャプテン不在でも一人一人が意識を強く持てば勝てそうな雰囲気はある。内川聖一は1人の選手に戻った。そして今は主に6番を打っている。

 

全盛期ほどヒットは出ない。打率は16日を終えて.261。通算打率が3割を超える内川にしては物足りないがじわじわ復調している気がする。何よりいいなと思うのが、渋くチームに貢献している点だ。あと1点取れたらいいなというところで犠牲フライ打ったり、ダメ押しのタイムリーを打ったり。16日もタイムリーはまさにそれだった。甲斐拓也が勝ち越しのホームラン。グラシアルが執念の2点タイムリーで3点差が付いてはいたのだが、何せ相手は西武。1点でも多く取っておきたかった。

 

この1点の恩恵に最も預かったのは森唯斗だと思う。前の試合、外崎に逆転弾を喫して敗れているだけに、リベンジする気満々だったはずだ。工藤公康監督は、たとえ1点差だったとしても森唯斗を起用するつもりだったと言っていたし、森唯斗自身も点差に関係なくやり返すつもりだっただろう。それでも、点差はあるにこしたことはない。グラシアルのタイムリーでもダメ押しにはなっていたが、ダメ押しのダメ押しで内川のタイムリーが出たことでより安全圏に入ったのは間違いない。

 

 

自分が結果を出すことで同僚が楽になる。素晴らしい流れだ。ソロ活動の人だって、今の自分がダメ押しで結果を出しておけば、未来の自分が楽になる。ダメ押しのメリットはそこにある。内川聖一は4番として以前のように前を切ってやるポジションではなくなったかもしれないが、今は中押し、ダメ押しでチームに貢献してくれている。その姿はピーク時の下り坂と見ることもできるのだが、得点できた時の内川が本当にうれしそうなので、見ているこっちもうれしくなってしまう。ポジションが変わったとしても、人にはそれぞれ役割があり、それを果たせたら十分なんだな、とあらためて思う。キャプテンを外れてどうなるかな、と少々心配な面はあったのだが、内川聖一のしなやかな変身ぶりが見られて、ちょっとほっとしている。


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