黒柴スポーツ新聞

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使いたい人になる~信頼残高を増やしたソフトバンク川島慶三、松田遼馬と減らした東浜巨

仕事を誰に頼もうか。そう考えた時、すぐに浮かぶ顔がある。それは信頼の証しだ。「左(投手)の時先発してもらって、しっかり活躍してくれる、打ってくれる。頼もしい限り」とは工藤公康監督による川島慶三の評価。きょう5月6日のオリックス戦に1番セカンドで先発した川島慶三は2打数2安打1盗塁と大活躍だった。

 

 

左殺しの異名を持つ川島慶三。この日の先発は左腕アルバースだったからスタメン起用はあるかなと思ったが1番バッターとしていきなり初球を二塁打に。送りバントで三塁に進んだ後、その送りバントがヒットになって生きた2番周東が飛び出してしまい、挟殺プレーに倒れそうになるが逃げ回っているうちに目線をチラチラ川島慶三の方へ。試合後のヒーローインタビューで川島慶三は「(本塁突入の)勇気はいらない。周東が二塁に残ればいいと思った」「(アウトになっても)周東のせい」と沸かせたが、うまく頭から本塁に突入し無事生還。その後の猛攻の口火となる先制点となった。

 

 

ソフトバンクは初回からデスパイネの3ランなどで一挙6点。川島慶三はヘッドスライディングした際に腕なり肩を傷めたのではないかと心配になったが初回に2度目の打席が回ってきてライト前にタイムリーヒット。そりゃ工藤監督も「頼もしい限り」というよなと思う活躍だった。川島慶三への信頼は高まるばかりである。

 

55歳の自己改革

55歳の自己改革

 

 

ソフトバンクは2回にも3点を奪って一時9-1と最大8点のリードがあったので、いかに最近勝てていない東浜巨とはいえきょうは完投ペースが期待されたが結果は5回4失点。立ち上がりの調子は悪そうに見えなかったが本人曰く球がばらつきだしてからの修正がうまくいかなかったという。

 

 

東浜巨を見ていると、結果が出ていない人はこうも自信がつかないんだなと再認識させられる。最多勝を経験したこともあるが妙に「うまくいかなかったらどうしよう」という不安を醸し出していないか。自信のなさがもろに顔に表れている。少々ランナーを背負ってもしかめっ面で後続を断つ千賀滉大とだいぶ違う。それとも表情を変えず粛々と打者を封じているからこそ千賀にエースの雰囲気が出てきているのか。

 

 

ソフトバンクは8日から楽天2連戦、10日からはロッテ3連戦で計5連戦。ということはほぼ平成生まれの6人で構成してきたローテーション投手の中で1人は出番がない。解説の若菜嘉晴は「いったん外れるのかどうか」と東浜巨の起用にフォーカスしていたが、確かに一度リフレッシュした方がいい気がする。若菜が言ったように「逃げているわけではないがかわすピッチング」だったわけで、それではいかにも苦しい。

 

東浜巨―野球日誌が語る22年

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対照的だったのが松田遼馬。先日このブログでも触れたが着実に結果を出している。この日も2回を3者連続三振を含むパーフェクトに抑えた。防御率0.00は、だてじゃない。東浜がアップアップで降板しただけに、試合を締めたという意味でも評価したい。ヒーローインタビューにも呼ばれたが「目の前のバッターを全力で抑える」ことを心掛けたという。とにかく投げっぷりがいい。変化球のキレもよく、落ちる球が効果的だった。首脳陣もこの好投を見せられたら「また使いたい」と思ったことだろう(下の参考画像が阪神時代でごめんなさい)。

 

 

信頼残高という言葉を聞いたことがあるだろうか。単純に信頼でもいいのだが、信頼は本当に貯金のようなものだと思う。この人のおかげで助かったなとか、頼りになるなと思う都度、信頼は増えていく。逆にこの人のせいでやられたと思うたびに信頼は減っていく。貯金がゼロならまだいいがマイナスになる猛者もいる。さすがに東浜のことをマイナスだとは言わないが、あまりに背信投球が続くと信頼残高に赤信号がともってしまう。

 

 

信頼は積み上げるには時間がかかるのに、たった一度のことで残高が一挙にゼロまたはそれ以下になることもある。だからこそ価値があるものなのだが、一度信頼残高を積み上げてしまえばちょっとやそっとじゃ減らない。私が尊敬する人は完璧な人ではないけれど信頼残高がめちゃくちゃある。だから連絡して返事が来なくても待つことができるし、頼まれごとがあったらすぐ応えたくなる。逆に信頼残高がマイナスの人に対しては「それなりに」しか対応しない。

 

 

そして自分自身はもちろん信頼残高を感じてもらえる人になりたいと気を付けている。さきほども書いたが信頼残高を増やすのに近道はない。例外的に九死に一生を得るレベルの大ピンチを救った時には「恩人」になって信頼残高が一挙に増えることはあるかもしれないが、そんな場面はそうそうあるものでもない。結局、左ピッチャーが登板した時に川島慶三がヒットを打つように、そして松田遼馬がリリーフ登板で一人一人を全力で打ち取っていくように、コツコツやっていくしかないように思う。

 

 

そういう意味ではコツコツ結果を出した川島慶三と松田遼馬がそろってお立ち台に呼ばれたのを見るとすごくうれしくなる。共に長崎県出身。長崎の方は大喜びだっただろうが私もすごくうれしくなった。そう、やっぱり頑張った人が報われる世の中でなくては。東浜には気持ちを切り替えてもらって次回の登板に期待。川島慶三と松田遼馬には引き続き好調を維持してもらいたいと思う。私も彼らに刺激を受けつつ、様々な場面で「使いたい」人にノミネートされるよう信頼残高をコツコツ積み上げていきたいと思う。

 

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