ソフトバンク3番今宮健太が好調な理由~責任の重さとやりがいは表裏一体
今宮健太が好調だ。5月5日のオリックス戦でも先制タイムリー。3番打者としての風格さえ感じられるようになった。離脱者続出のソフトバンクではあるが、若手の台頭と共に、得点源となったニュー今宮健太の誕生も2019年シーズンの大きな収穫だ。
DAZNで中継を見ていたが、この日一番しびれたのは今宮健太のコメント。レポーターによると今宮は「先輩たちがいないからこの打順を経験できているが、3番に入ってみて、ホークスでこの打順を打っていきたいという気持ちが芽生えてきた」と話していたという。このモチベーションが好調に輪をかけていると見た。
元々今宮健太は2番が多い。犠打のうまさは定評がある。それが柳田悠岐の離脱に伴い3番に格上げとなった。今年の今宮健太は開幕から好調でホームランもポンポン飛び出していたから、誰を3番に上げるかという時に今宮の名前が挙がったのは当然と言えば当然だった。
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だが3番になってからはさらに力強い打球が増えたように思っていた。また、効果的なタイムリーを打っている印象も残っていた。中継の中で今宮健太の打順別成績が紹介された。
本塁打は2番の方が出ているが、打率は3番の方がかなり高い。
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もう一度今宮健太のコメントを見てみる。
「3番に入ってみて、ホークスでこの打順を打っていきたいという気持ちが芽生えてきた」
3番に入ってからは「打点」への意識が高まったという。確かにこれまでの2番ならチャンスメイク。お膳立てだ。それも確かな貢献なのだが、3番4番ともなると得点という形で結果を出さねばならない。
結果を求められる立場というのはより責任が重くなる。一方でやりがいも高まる。今宮健太はまさに今、それを肌で毎試合感じている。その上で、「ホークスで3番を打っていきたい」という気持ちが芽生えた。最初は与えられた3番だったかもしれないが、今は能動的に3番というポジションに取り組んでいるということだろう。同じことをやるにしても、能動的であることは成功にちょっと近づいている。
10年目の中堅としての自覚もあろうが、単純に面白みもあるのではないか。最近では2番の周東がよく出塁し得点圏に進んでいる印象。今宮健太にしたら常に打点という分かりやすい目標が設定されている。もちろん数字だけ追えばいいというものでもなかろうが、日頃心掛けている「強い打球」を放ち、ランナーを迎え入れることでチームが勝ちに近づく。ピッチャーを楽にできる。確かな貢献がソフトバンクで実感できているからこそ、このチームでこの打順をやっていきたいと思っているのではなかろうか。
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どんな組織にいても、同僚との兼ね合いでポジションが変わることはあり得る。しかし結果を出していくことであたかもそれが元々求められていたポジションのように周りが見出したら、それは完全にうまくいっている証拠だ。今宮健太はまさにそれ。高校通算62本塁打の長打力は有名だったが、力強いバッティングという形でチームに貢献している姿は素晴らしい(守備のうまさは言うまでもない)。
ソフトバンクは内川聖一がキャプテンを外れたことで主将は不在。一人一人が高い意識でプレーすることが求められている。その中でもいま、今宮健太がチームの核になっていることは間違いない。柳田悠岐や中村晃の復帰は待ち遠しいが、戻ってもなお今宮健太の3番としての勝負強いバッティングを見てみたい気がする。周東、三森、釜元ら若手の台頭に目が行きがちだが、今宮健太の意識改革にも注目していきたい。