打てないイチローを見て平成の終わりを実感する~日本開幕シリーズでヒットは放てるのか
マリナーズの監督は偉いな、と思う。日本開幕戦に帯同しているイチローを、2打席立たせた後で交代させた。日本のファンはイチローが目当てだ。それを承知していてなお、ベンチに引き揚げさせた。
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困ったことにマリナーズの監督の名前はサービスだ。イチローを見せてくれないんじゃ、サービスではないよなとツッコミたくもなる。しかし、サービス監督はイチローを交代させることでシークレットメッセージを送ったように見えた。
「私たちは勝負にきているのです」と。
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もちろん日本で開幕戦を行うこと自体が興行だ。それでもイチローを、イチローだからという理由では打席に立たせなかった。実はそのことがイチローを守ったように見えた。というのも、イチローはずっとヒットが出ていない。ただイチローを試合で使い続けるなら、本当に顔見せ興行になってしまう。
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それではイチローにも失礼だ。イチローも本意ではあるまい。イチローは日本のファンのためにも自分のためにもヒットを打ちたかった。ファンはイチローのヒットが見たかった。今宵また一塁線に鋭い打球を放ち、ファンを一瞬喜ばせた。だがそこまでだった。イチローは一旦ライトの守備位置につき、ダグアウトに引き揚げた。
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イチローはこんなに勝負に徹するメジャーリーグで何シーズンも生き抜いてきたんだ。3089本もヒットを打ってきたんだ。監督による交代は酷に見えたけれど、イチローをきちんと戦力として見ているよ、と示す行動だと思えば納得できた。
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かつての日本開幕戦で4安打と抜群の勝負強さを発揮したイチローだが、開幕してなおヒットが出ないと年齢的な衰えを指摘する声は大きくなることだろう。イチローも人間であるという当たり前のことに気付く人は確実に増えている。
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なぜ「年齢的な衰え」なのだろう。それは歴代の野球選手たちが遅くとも40歳前後で引退してきたからだ。そこにイチローを当てはめようとしている。練習試合ではライトから三塁へのストライク送球を披露したが、あれはレーザービームではなかった。だがメディアはこぞってレーザービーム健在だと取り上げた。しかしあれはレーザービームではなかった。イチローがよかれとやったことが「45歳にしては」という評価を受けつつある。
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今回の東京入りはイチローの人間宣言だったのかもしれない。平成という時代に軽快にヒットを重ねたイチローにも衰えが感じられる。それもそのはず。平成は30年以上続き、イチローはもう45歳なのだ。平成と共に退場しても何らおかしくない……しかし、イチローならそれをまた覆すのではとまだまだ期待してしまう。たった一本のヒットで。その時またイチローのすごさを再認識することだろう。
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