考えずにやる500本の素振りは意味がない~大谷翔平はお手本を見つけ、鏡の前でスイング
ノックは技術力向上もあるが、指導者と選手の「気」のキャッチボールだ的なことが、高橋善正著「情熱野球で勝つ『言葉の鉄拳』」に書いてあり、興味深く読んだ。
情熱野球で勝つ「言葉の鉄拳」 (ベースボール・マガジン社新書)
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日本で15回しか記録されていない完全試合の達成者、高橋善正はノックの時間を重視しているのだが、こんなことも書いていた。やらされる1000本ノックよりも、能動的に受ける50本のノックの方が意味があるのだ、と。
能動的に、とは選手の意思で、ということだ。まだまだうまくなりたい、足りないところを埋める必要がある、だから自分はノックを受けたい、受けなきゃいけない。もうその時点で捕球態勢が整っている、と解釈した。
社会人的にも日々の作業は1000本ノック状態。やってもやっても終わらない作業はよくある話だ。やらなければ帰れないという根本的な問題はあるが、理想はそれぞれの作業に「意義」を見出すことだ。これをやることでこんな結果が得られる、期待できる。それがイメージできる方が、作業自体もはかどるに違いない。
漫然とやるのは意味がない、という言葉を思い出した。1月、岩手日報に掲載された大谷翔平と菊池雄星の「紙上対談」。カッコを付けたのは、実際には2人が会っていないから。編集によって対談っぽくなっていたのだが、その紙面に大谷翔平への子どもたちの質問が載っていた。
「1日にバットを最高何回振っていましたか」
大谷翔平は、自分はそんなに振っていないと答えた。だが部屋では常にバットやボールに触れていたし、連続写真や動画でいいなと思うプロ野球選手のフォームを見つけたら、鏡の前で振ったり投げたりしていたという。極めつけはこれ。
何も考えずに500本振ることくらい無駄なことはないと思います。
もしかしたら、デキる人たちがスマートに見えるのはこのように合理的な努力をしているからではないか。やたらめったら千本ノックを受けたりはしないのだ。
なお、500本の素振りや1000スイングなど数をこなす練習の意味がないとは言わない。振ることで多少は筋力が付くのかもしれない。耐え抜いて得られる精神力、踏ん張る力もある。しかしそれは意図して付ける力ではあるまい。あくまでも副産物だ。
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また、繰り返し行うことでフォームを体に染み込ませることもできよう。その場合は「理想のフォームを確立する」という意図を明確にすることだ。そうしないと練習すること自体が目的になってしまう。
胸に手を当てると、日々の仕事をこなしている自分がいる。目の前のことにいちいち意義付けなんてしていられない時もある。そんな時はせめて作業の効率化、スピードアップを目指して早く帰ろう。つくった時間を生かせば本を読んだりブログを書いたりできる。意図して動くことは、自分を高めることにつながるのだ。
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