5年連続55試合以上登板。森唯斗がタフな理由とは~守護神マリアノ・リベラとも共通点
西日本スポーツで紹介された森唯斗の記事をご覧になっただろうか? 見出しは「ソフトバンク新旧セーブ王のいい関係 森が熱望『8回サファテからバトン』」。サファテが復帰しても、森は守護神の座を譲る気がないらしい。森は2018年のセーブ王。サファテは2015~2017年のセーブ王。恐ろしくハイレベルな守護神争いである。
記事で確認したが、森唯斗はデビュー年度から5年連続55試合以上登板。なぜそんなタフなのか、不思議に思っていたが答えの一つをこの記事で見つけた。森はこう語っていたのだ。
「去年よりもっと投げたいという気持ちで毎年やってきた。1年目から、投げたい、投げたい、でしたから。できることなら、全試合を投げたいです。楽しいから。そういう気持ちを持っているからやれているのかな」
全試合投げたい。こんなピッチャーもいるのだなと、正直なところ驚いた。肩は消耗品という考えが定着した今、連投は避けるのが常識になっている。今や中4日の登板でさえ男気と言われる風潮もある中で、森は全試合投げたいと言っているのだ。
もちろん先発と抑えの違いはある。長いイニングを任される先発と、今や1イニングが当たり前の抑えとは働き方が違うのだ。だとしても全試合投げたい、しかも理由が「楽しいから」というのはすごい。まさに「好きこそものの上手なれ」という言葉が浮かんでくる。5年連続55試合以上登板の背景にはこの気合があるのだ。
もう一つ、記事を読んで「いいな」と思ったことがある。このくだりだ。
-どうやって気持ちを盛り上げている?
「切り替えは、自分でもうまいと思う。ブルペンにかかってくる電話の音でスイッチが入る。そこまでは(他の選手と)じゃれ合ってますよ。ずっとスイッチを入れていたら、中継ぎは絶対1年間もたない。そのことは後輩に言ってあげたい。経験して分かったことなので」
そう、ずっとスイッチを入れていたらもたないのだ。これは仕事人間に教えてあげねばならない。かくいう自分も気分転換がへたくそで困っている。わが親友はよく知っているが、失敗を引きずってしまうのだ。後悔という名の荷物を後生大事に抱えながら走ってしまう。それではうまく走れっこないのに。
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年明けから読んでいる、元ヤンキースの守護神マリアノ・リベラの自伝「クローザー」には、抑えに必要な資質が書かれている。
「すんだことを引きずらず、先のことをあれこれ考えずに、目の前のことに集中することこそ、クローザーに必要な資質だ」(「クローザー」130ページより)
マリアノ・リベラにはその資質があった。そして己の職務に忠実だったからこそ、歴代最多の652セーブという大記録を残せたのだ。日本最多は岩瀬仁紀の407セーブ。これだけでもリベラがいかにすごいかが分かる(岩瀬も十分すごいのだが)。
リベラもまた、気合のスイッチをオンにする前にリラックスタイムをつくっていた。四回が始まるくらいにリベラはトレーナールームに行く。そこでジーン・モナハンに体のケアをしてもらう。その間、リベラはテレビで試合を見ながら相手打者の研究をする。
「ジーノと過ごすこの時間が、マウンドに立っているときを除けば、一日で一番好きな時間かもしれない。落ち着ける有意義な時間だ。本当にゆっくりできる。自分の体の声をきき、ジーノの話に耳をかたむける。二人で家族の話や若い頃の話をしたり、世間話もする。お互いに腹を割って話せたし、気が合った。こうして準備を整えていく。トレーナールームを出る頃には、全身にアドレナリンがみなぎっているように感じる」(「クローザー」127ページより)
そう、オフがあるからオンにできる。オフの時にリラックスしたり、体をケアしたりと有意義に過ごすことで、オンの時に最高のパフォーマンスができるのだ。「働き方改革」なんて大仰な言い方をしなくとも、個人で意識してやりたいものだ。森唯斗は自分で「切り替えがうまい」と言っているが、それが本当だからセーブ王を取れたのだろう。
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済んだことを引きずる人は真面目で責任感が強い傾向があるのは事実。しかし、取り返せないものは取り返せない。私もそれは分かっている。最近はそこを割り切って、次また同じことをしなければいいと思うようになってきた。クローザーみたいなシビれる場面ばかりじゃないけれど、任された仕事がうまくいくかどうか、という大事な局面はある。なかなか森唯斗のように楽しんでばかりもできないが、リベラを見習ってまずは目の前のことに集中しよう。いつか森のようにバリバリ楽しめたら最高だ。
ちなみにこのブログは「楽しいから」毎日書けています。いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。
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