黒柴スポーツ新聞

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目の前の成果に走らない~桑田真澄が日本ハム吉田輝星に「直球」アドバイス

日本ハムのゴールデンルーキー、吉田輝星が桑田真澄と対面した。桑田が日本ハム2軍のキャンプ地、沖縄を訪れたのだった。時代は違えど、ともに甲子園を沸かせた右腕。どんな話をしたかすごく気になる。

 

 

この模様は各メディアが取材したようだが、目についた時事通信記事にあった、桑田のコメントがすごくよかった。

「変化球に走らず、目の前のアウトに走らないようにしてほしい」

 

 

誰だって目の前の成果がほしくなるだろう。努力家であればなおさらだ。頑張ったのだから結果が欲しくなるのは素直な気持ちだ。特に吉田輝星はどんどんアピールして1軍を目指さねばならない。もっとも、日本ハムは新人を大切に育てる球団だから焦らなくていいのかもしれないが。

 

 

実際、記事に書いてあったが吉田は先輩たちの変化球に目が行ったという。抜群の切れ味。「(変化球習得に)目がいきがちだった」と吉田。先輩たちの高いレベルに追いつきたいと思う気持ちも素直なものだろう。決して悪くない。

 

 しかし桑田は直球を磨けと言った。

「ストレートを磨けば、5年後、10年後が見えてくる。そういう投手に育ってほしい」

 

野球の神様がくれたもの

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そうだ。吉田輝星最大の魅力はあの低めにずばっと決まるストレートだ。まずは持ち味を徹底的に磨く。変化球のレベルアップはそれからでいい。

 

桑田真澄のピッチングを思い出す。ナイター中継で投球後「MAX」と表記が出たがその時は148キロだった。今ならもっと速い球を投げるピッチャーはゴロゴロいる。このあたりがピッチングの妙。決して球が速ければ勝てるわけではない。

 

Number PLUS 桑田真澄 完全復刻版 (Sports graphic Number plus)

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桑田にもピッチング理論があるだろうが、個人的にはいわゆるキレとコントロール。桑田はそれを存分に生かしたピッチャーだと思っている。桑田は吉田輝星に対して、自分と似た部分を感じたからこそ、「直球を磨け」とアドバイスしたのではなかろうか。

 

完本 桑田真澄 (文春文庫)

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「球運」という言葉がある。チャンスに打席が回ってきた。先輩のけがで出番を得た。プロ野球に入ってくる類まれな才能の中で生きていくには、いくばくかの運も必要だ。吉田輝星がこのタイミングで桑田真澄に出会ったのを見て、吉田には球運があると感じた。先日の紅白戦での1回1失点はひょっとしたら消化不良だったかもしれない。しかし最高のタイミングで最高のお手本がやってきたのだ。

tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com

 

もちろん、最高のアドバイスは素直に聞く気持ちがあってこそ効果がある。吉田輝星は桑田と出会い、直球で勝負する決心がついたという。

 

「ストレートを磨けば、5年後、10年後が見えてくる」

 

そう、吉田輝星は何年も輝いてもらわなければならない逸材だ。目先の成果にとらわれて自分を見失ってほしくない。才能を開花できずに球界を去る若者を見るのはプロ野球ファンだってつらいのだ。期待が大きい分、それに応えなくてはと思うのは責任感の表れだろう。でも、焦る必要はない。ファンもそこは辛抱のしどころ。今よりもスケールの大きな吉田輝星が見られるのなら、ぜひ見てみたい。だからファンも成長を楽しみに見守りたいものだ。

 

と言いつつ、毎回書いているが私はソフトバンクファン。いつかスケールアップした吉田輝星にこっぴどくやられることがあるかもしれない。しかしそこは堂々とソフトバンク打線が迎え撃てばいい話。きっと名勝負になることだろう。

 

 

5年、10年先を見据えて、自分の武器を磨けばいい。

桑田真澄のアドバイスは、吉田輝星以外の人の背中も押してくれている。

 

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