黒柴スポーツ新聞

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日本ハム開幕投手争いに見るキャリア論~期待の上沢、奮起を促す有原、実績十分の金子

開幕投手には二つの意味がある。文字通り、開幕戦に投げるピッチャー。もうひとつは1年間、このピッチャーを軸に戦うんだという意思表明である。ゆえに開幕投手はエースまたはエース候補の意味合いが強い。その意味でも、日本ハムが2019年の開幕戦に誰を起用するのかは大変興味深い。

日本ハム開幕投手争いは上沢直之、有原航平、金子弌大で、上沢が最有力だと新聞記事で見つけた。連日キャンプ記事がネットやら新聞に掲載されるが本数はあっても心を揺さぶられるものが少ない。そんな中、この日本ハム開幕投手争いはキャリア形成の意味で非常に興味深く読めた。

ざっくり言えば、上沢は2018年シーズン、日本ハムの勝ち頭だった。とはいえ11勝。この辺りが日本ハムが優勝できなかったことを物語る。上沢がブレイクしていたらペナントレースの順位も変わっていたとみている。

そう、もし上沢が初の開幕投手に指名されたらそれは栗山英樹監督からのブレイク指令の意味合いが強い。一皮むけろ、と。おまえにはそれくらいの能力があるんだ、と。栗山監督はそうやって選手の自覚を促すタイプだ。

「最高のチーム」の作り方

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また、上沢直之開幕投手にすることで有原航平に刺激を与える裏効果があるとみている。上沢は実働4年で28勝。有原は同じく4年で37勝。有原からしたら、うかうかしていられない。

ドラフトは上沢が2011年の6位で有原が2014年の1位。上沢の方が入団が早いが、上沢は1994年2月生まれの専大松戸高校出(25歳)。有原は1992年8月生まれの早稲田大学出(26歳)だから学年は一つしか違わない。切磋琢磨していけばしばらく日本ハムのローテーションを形成する二人なのだ。

日本ハムは競争心をいい意味で煽ることで成長を促すところがある。この辺りは吉田輝星と柿木蓮の扱いをみてもよく分かる。
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有原航平は2017年に開幕投手の経験がある。また実働4年のうち2度、2けた勝利をした実績もある。ただし2018年は8勝止まりだった。上司としては悩みどころだ。成長に期待しての上沢か。奮起を促す意味での有原か。



そこに割って入る男もいる。オリックスから加入した金子弌大だ。こちらは5度の開幕投手経験がある。さらに通算120勝と実績では上沢も有原も比較にならない。開幕戦が特別な意味を持つだけに、指揮官が金子を指名する可能性は十分ある。

そして、肝心の開幕カードがオリックス戦なのだ。因縁。話題性。知略に長けた日本ハムがこれを生かさないはずがない。金子弌大はクールだからいちいち気にしないと振る舞うだろうが、大幅減俸を提示してきた古巣と開幕戦、少なくとも開幕カードで当たるとしたら燃えないはずはない。半沢直樹ばりにやられたらやり返す。100倍返しの絶好機であり、早くも脳内で半沢直樹のテーマが流れていても不思議ではない。
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とここまで書いておいて何だが、私はソフトバンクファンである。他球団の開幕投手を気にするな、とは言わないでもらいたい。なぜならソフトバンクにとって日本ハムは毎年絡まれる嫌なチームなのだ(本音であり誉め言葉です)。だからライバルチームの動向が気になるので、ちょっと考えてみた次第。ひとまず開幕カードで当たらなかったことをラッキーに感じている。ソフトバンクはいきなり昨シーズン覇者の西武戦だから全く気が抜けないのだが。

西武はソフトバンクに特別な感情があるに決まっているし、日本ハムは金子が開幕投手ならオリックスと因縁の対決。セ・リーグでは人的補償で話題をさらった広島vs巨人だから、2019年は開幕カードから盛り上がらないはずがない。しばらくは開幕投手争いを観察しながら、開幕を楽しみにしよう。さて、あなたが栗山監督の立場なら、期待の上沢、奮起を促す有原、実績十分の金子、誰を開幕投手に起用しますか?


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