黒柴スポーツ新聞

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一人一人が当事者意識を持ったチームは強い~ソフトバンクがキャプテン廃止

チームの精神的支柱、キャプテン。いざという時に頼りになる存在だ。が、キャプテンが有能であればあるほどチームをが依存体質になる恐れがある……。そんな懸念をものともせず、チームの改革の一貫でソフトバンクがキャプテン制度を廃止した。なかなかの意識の高さで、注目している。



工藤公康監督就任以来、キャプテンは内川聖一が務めてきた。確実性も勝負強さもある好打者。大黒柱としてチームを牽引するのにはうってつけだった。

だがこの2年は内川聖一が万全でなかったためキャプテン不在の時期があった。それでもソフトバンクは2年連続で日本一になれた。まさにチームは成熟期を迎えている。

一方で、2019年は松田が36歳、中村晃は30歳、柳田悠岐も31歳と、主力はじわじわ「高齢化」している。まぁ、このあたりはまだまだ元気なのだが。であればなおのこと、次の世代を着々と育てたいところだ。

キャプテン制度廃止はそのあたりの、底上げを狙ったものと解釈できる。コーチ・監督会議後に工藤公康監督はこんなことを言っていた。
「選手一人一人がしっかりと自覚を持って、自分がキャプテンだ、ぐらいの強い気持ちで一年間、戦ってもらいたい」(西日本スポーツ記事より)

まだまだ内川の代わりになる存在には誰もなり得ない。でも、一人一人が「おれが」と思うことは大事だし、モチベーションにつながると思う。職場でも仕事がデキる人がいたらついつい甘えてしまう。あの人がいるから大丈夫、何とかなる。何とかしてくれるはず……。そう思っていてはいつまでもたっても依存体質のままだ。

内川聖一が不在でも柳田悠岐という柱はあった(柳田が離脱すると本当に痛いのだが)。だから内川の次は柳田がキャプテンになってもいいのかもしれない。だが、柳田はいろんな意味で規格外だから、ひとまず4番を務めることでチームを引っ張るのがベターではなかろうか。

そして、攝津正引退後は千賀あたりにエースになってもらいたい。13勝とかではなく、15勝が最低ライン。17勝はほしい。そして、自分から名乗るのではなく、周りから「エースは千賀」と言われるようになってもらいたい。アメリカに行くのはそれからでもよくないか。千賀自身は「旬」で渡米したいだろうけれど。

好不調の波さえなければ松田宣浩のキャプテンもいいかなと思うのだが、今年はキャリアハイの成績を目指すらしいので、それをもってチームを引っ張ってもらいたいと思う。

キャプテンは現場の中心だから、いることには意味がある。ソフトバンクがキャプテン制度をなくしたのは、一人一人がさらに高い意識を持つようにするためだ。これができるのはチームが安定しているからだ。下位から上位を目指すチームには無理だろう。
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おまかせではなく、一人一人が率先してチームを引っ張る。それができた時はおのずと、ソフトバンクの3年連続日本一が見えてくる。キャプテンをあえてなくした、新しい形のホークス像が楽しみだ。


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