黒柴スポーツ新聞

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環境を変えることは成長に欠かせない~レスター岡崎慎司が移籍先を模索中

移籍。プロスポーツ選手にとってはキャリアアップの手段である一方、失敗したら最悪即引退、ハイリスクハイリターンの転機だ。一般人でも転職経験のある方なら分かる心境ではなかろうか。そのハイリスクを知りつつもハイリターンを求めているな、と岡崎慎司の言葉から感じた。本日のテキストは日経新聞岡崎慎司「満身創意」1月23日の「まだ終わりじゃない 移籍の意思表示は覚悟の上」。

岡崎慎司 悩む男。

岡崎慎司 悩む男。

プロ野球を好む私は欧州サッカーまでは追いかけないのだが、代表戦を通じて岡崎慎司の泥臭いプレーは知っている。この日経の文章からも岡崎慎司の愚直さがひしひしと伝わってくる。まさに文は人なり、だ。

プロ野球にも移籍はあるのだが、FAを除けばトレードやら、戦力外通告から他球団が獲得するなどのネガティブなイメージだ。一方、サッカーは選手自らがキャリアを獲得する印象を受ける。岡崎慎司も自分の商品価値を信じて移籍を模索している。



プロスポーツ選手であるなら試合に出て初めて輝ける。その意味で、出場機会が得られないのはかなりの消化不良を感じるのだろう。岡崎は「試合に出られない毎日に『選手として成長できなくなる』という不安や焦りはある」と書いている。

結果を残していないまま移籍を口にすることは負けを意味することなのかも、と自覚しつつも、行動を起こすことがモチベーションの維持に繋がる、という岡崎の考えは本当によく分かる。たとえ不利な状況に陥ったとしても、それが自分の意思ならばまだ納得できるからだ。



もちろん、明らかに回りの影響で想定外の遠回りをすることもあるだろう。自分は貧乏くじを引いてしまった、と感じたことは私自身もある。だが、このままでは言い訳のスペシャリストになってしまう。その前に、自分のキャリアは自分自身で切り開かねばと思うようになった。

だからこそ、今回の岡崎慎司の記事は胸に突き刺さる言葉のオンパレードだった。
「自分次第で現状は変えられるという気持ちでプレーしたい」
「移籍が成立しないのは自分への評価、岡崎慎司という選手の価値が低いということ。自分の力不足が招いた結果だと受け入れ」る。
「不安はポジティブな力に変えられるし、焦燥感は僕を追い込んでくれる」
どうだろう。何と前向きで謙虚なとらえ方だろうか。成長するにはこのように、自分自身の現状を冷静に、正確に受け止める力も問われる。

プロスポーツ選手のキャリアはついつい年齢で判断してしまいがち。2018年のワールドカップ・ロシア大会が終わって、長谷部誠本田圭佑らは最後のワールドカップだったんだなと思い、その中に岡崎慎司も勝手に含めていた。が、今回の記事の最後にはこう書いてある。
「3年後のワールドカップカタール大会へ向け、今は助走期間だと思っている」

あきらめたらそこでおしまい、とも思う。特に岡崎慎司のように気持ちを全面に出す人はその傾向が顕著だ。岡崎慎司のポジションFWは得点に絡むわけで、野球で言えば四番。結果を常に求められる。だからこそ、岡崎は常に自分の商品価値を示したいし、それを試す手段が移籍なのだろう。

キャリアを積み重ねた人でも移籍先は環境が変わるから、実力を発揮できずに終わる人はたくさんいる。プロ野球では特に巨人入りした選手でそういうケースが多かった印象だ。プロ野球選手である以上、一番高く評価してくれる球団に行くことは間違いではない。ただし、自分が輝ける環境であるかどうかも忘れてはいけないと思う。

その意味ではFA宣言して広島から巨人入りした丸佳浩には注目したい。広島にいたなら人気があり、球団からの評価も高く、年俸も十分だったはず。そこをあえて巨人に移ったのは、環境を変えたかったのかと推測する。もう一段上に行くには、今までと違う環境に身を置く必要がある。そう考えたのであれば、丸佳浩はそこそこ活躍できるのでは、と想像している。
広島アスリートマガジン 2018年9月号[丸佳浩が最強である理由。]

広島アスリートマガジン 2018年9月号[丸佳浩が最強である理由。]



プロ野球の移籍は一段落したが、岡崎慎司の移籍はどうなるだろうか。どのチームに所属していても、岡崎のキャリアや自分を高めていく姿勢には注目していこう。


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