孤高のサムライの原点を見た~熊本日日新聞「火の国の球児たち」前田智徳編を堪能
熊本日日新聞が、過去の紙面と熊本出身のプロ野球レジェンドの現在を「コラボ」させた夢の企画「紙面を彩った火の国球児たち」をご覧になったことはあるだろうか。今回、第4弾の前田智徳編をnoteで購入(200円)。期待通りの面白さだった。
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そもそも前田智徳だから面白くないはずがない。なんて書いたら熊本日日新聞の編集者さんのハードルを上げてしまうようだが、過去の「秋山幸二と伊東勤」「野田浩司」「川上哲治」同様、超有名な地元のスターを扱うのは編集者冥利に尽きると同時に相当のプレッシャーがあると想像する。
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この「火の国球児たち」はネットで販売されているため、地元熊本県民だけが見るわけではない。ゆえに前田智徳の高校時代を知らない人たちは「あの前田の原点はここなんだ」と知ることになる。
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と同時に前田智徳のことは熊本県民ならみんな知っているわけで、その記憶を丁寧に掘り起こすことで、「ああ、やっぱり前田智徳はすごいよね」と納得させられているように思う。
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そのツールとして効果的なのが、当時の紙面だ。以前「火の国球児たち」を紹介した記事でも書いたが、この「紙面」は新聞社の財産だ。いかに最近のネットメディアが元気でも、この資産はない。資産の有効活用という意味では、この熊日の意欲的な取り組みをすべての地元紙関係者に注目してもらいたいし、一般読者にも純粋に当時の紙面を楽しんでもらいたい。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com
とにかく前田智徳は勝負強く、ポイントになる試合ではホームランを打つなど結果を出していた。だから前田智徳を振り返るならば、熊本大会決勝を報じる紙面など「大きな紙面」が採用されるのは当然だ。
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だが今回の前田の記事で面白かったのはベタ記事にも注目したことだ。ベタ記事とは簡単に言えば小さな扱いの記事。見出しが1段分の小さな記事だ。見出しは「編集者が伝えたい声の大きさ」をイメージしてほしい。そんな意味からして、前田智徳を描いたあのベタ記事は勝ち負けを報じる紙面だけならカットされてもおかしくはない。しかしあえて当時の熊日記者は前田のベタ記事を書いた。そこには前田智徳イズムが凝縮されていた。それを今回の「復刻企画」編集者は丁寧に拾ったわけだ。
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今回の前田智徳編はそのベタ記事のエピソードを含む、10個の伝説を一つ一つ紹介している。これを読めば前田智徳のすごさがよく分かり、また、なぜすごいのかも分かるはずだ。
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また、単純に「熊工」の古風なユニフォームの前田智徳がカッコよすぎる。カープのユニフォームもいい加減かっこいいのだが、球児の頃から前田は風格がある。「火の国球児たち」はかつての写真を通じて、レジェンドの若き日の姿を知れるのが魅力の一つだ。
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最後に出てきた、前田智徳がなぜ練習を大事にするかがグッと来た。やはりなぜやるかがポイント。ただ練習すればいいというものではない。目的が大切だ。それを理解すると、前田智徳が練習の虫であることが納得できる。
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それにしてもよくもまああれほどストイックになれるものだ。一途な面はまさにイメージ通りだった。前田智徳に詳しい人も、そうでない人も、これを機にぜひ「火の国球児たち」前田智徳編を読んでもらいたい。あくまでも個人の感想だが、野球バカなら200円で十分元が取れる。この企画ではぜひ私の好きな荒木雅博編も楽しみにしている。地元に数々のレジェンドがいる熊本県民が本当にうらやましい限りである。