黒柴スポーツ新聞

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ソフトバンク王貞治会長の平成を振り返る会見をメディアはどう伝えたか~切り取り方は人それぞれ

ソフトバンクホークス王貞治会長が1月18日、日本記者クラブで会見した。タイトルは「平成とは何だったのか」。各メディアは工夫しながら報じたのだが、スマートニュースで比べてみたら、見出しがバラバラで面白かった。



まずはベースボールキング。
王貞治氏、“生卵事件”は「ファンが真剣に怒った結果」
今では考えられないくらい弱かったホークス(ダイエーホークス)を率いていた王貞治監督。怒ったファンがバスに生卵を投げつける事件まで起きた。私も覚えているが「世界の王」がこんなことされるのかと衝撃的だった。だが王さんはさすが。「真正面から引き受けないといけない」と屈辱を糧にしている。私は強くなってからのホークスを応援しているが、ダイエー、さらには南海時代からのファンは本当に偉いなあと思っている。

続いて時事通信
王貞治氏が持論「大谷は打者で」=平成のプロ野球を回顧
一体、王さんは大谷翔平の二刀流のどちらがよいと思っているのか。「長く選手をやるのなら、けがの少ない打者の方がいい」そうだ。王さんだって甲子園準優勝投手。そこから世界のホームラン王になったわけで、さすが説得力がある。どちらにしても、自分で決めることだとも述べていた。
エンスカイ 大谷翔平 2019年卓上カレンダー

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次はスポーツ報知。
ソフトバンク王貞治会長が会見 もし今現役だったらメジャーに挑戦していた?
今とは違ってメジャーへの道が整備されていなかった。それでも「チャレンジはしてたと思いますよ」。そして、速い球が得意だったから「やれる感覚だった」とも。やれたでしょうね。どこのユニフォームが似合うだろうか。ヤンキースドジャースハンク・アーロンがいたからブレーブスはなしか。

次は産経新聞
王貞治氏が平成をテーマに会見「長嶋さんと戦えたのは特別だった」
ONシリーズと呼ばれた、長嶋茂雄監督との日本シリーズは2000年。ONの現役時代を知るオトーサンたちはさぞ感慨深かったことだろう。あそこはやはり長嶋さんが勝つシステムになっていたのか。王監督が古巣巨人と相まみえるのは、西鉄ライオンズを率いて巨人に挑んだ三原脩監督を思い起こさせた。「自分にとっても、長嶋さんと一緒に戦えたのは特別な年だった」と力を込めた王会長。元気なうちにもう一度巨人との日本シリーズが見たい。

続いて共同通信
ソフトBの王会長、平成振り返る WBCは「選手が頼もしかった」
世界の王は世界一が似合う。2006年、WBCの歴史に燦然と輝く初代チャンピオンになった日本。イチローがいて、松坂大輔もいた。監督が王貞治。まさにドリームチームだった。「米国で戦っているうちに自信をつけてくれた。日の丸を着けるとパワーをもらう」と述べた王会長。プレッシャーも相当だったことだろう。余談だが、私はソフトBという見出しが大嫌い。藤子不二雄のウルトラBじゃないんだから。
ウルトラB(1)

ウルトラB(1)

デイリースポーツは記事が2つ。
王会長、生卵事件が常勝ソフトバンクの礎「屈辱ではありましたが…」
王貞治会長が“投手・大谷”の体を心配「バッターに専念してくれたら」
見出しは一番工夫を感じる。さすがスポーツ紙。同じ会見をネタに、切り口を変えながら複数の記事を配信する。確かにネタが王会長ならばやれる。やろうとする姿勢が素晴らしい。「やっぱり、マウンドでバッターを打ち取った気分は最高なんです。バッターが『参った』という感じを見せてくれる、こんなうれしいことはない」と投手の面白さを語ったくだりを入れてくれたのはよかった。ただしこの大谷に関する記事はボキャブラリーの乏しさが否めない。いつまでも新聞記事が一番読みやすい分かりやすいなんて偉そうなことは言わないが、その一線を守れなければ新聞はますます厳しい。



元新聞記者ゆえについつい熱くなってしまったが、王会長くらいのキャリアであれば、メディアを経て、ではなく素材の味を、まんま楽しみたい気もする。私はヘビーユーザーではないがログミーなどで今回の王会長会見をまるごと読んでみたい気がした。
王貞治 壮絶なる闘い

王貞治 壮絶なる闘い



あらためて読み比べをしてみるといろいろな発見がある。黒柴スポーツ新聞も切り口を工夫しながら、選ばれる存在を目指します。これからも応援よろしくお願いします。


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