黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

大変、友人のブログがパクられた!~誤りやパクりが許されない理由

先日、読者から質問を受けた。ライターなんですか?と。そう聞かれるくらいだから、文章が下手ではないんだなと少しホッとした。あらためて書くと、筆者は新聞記者経験がある。今はネット版の編集者をしている。表現方法の試行錯誤の一つとしてこのブログに臨んでいる。

今、奥村倫弘さん著「ネコがメディアを支配する」を読んでいる。

奥村さんは読売新聞記者を経てヤフーに入社。今はウェブメディア「THE PAGE」編集長をされている。著書に「ヤフー・トピックスの作り方」がある。「ネコがメディアを支配する」はまだ読み終えていないが共感が多いのでもう自分は行動に起こすことにした。具体的には「信頼に足る情報を発信しよう」と。
ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

もちろんこの黒柴スポーツ新聞はスポーツ好きの人たちと過去や今、近い将来の話題を共有する場だからそんなに凝り固まってコラムを書く必要もない。仕事は報道だがブログは私的な修業の場だから万一誤りがあってもきちんと修正するなど常識的に対応さえすれば深手は負わない。しかし、それに甘えてはいけない。理由はいくつかある。

まずは読者の存在。わざわざ隙間時間を縫って(笑)このブログに遊びに来てくれている。毎回記事に評価の☆をつけてくださる方もいる(いつもありがとうございます!)。まだまだのびしろのある未熟なブログゆえ、ついついアクセス数に一喜一憂してしまうが、究極は1アクセスでもその1ユーザーに何らかの刺激や変化をもたらせたら書いたかいがある。そこに誤った情報があっていいはずがない。

二つ目は新聞社にいることへの矜持。もちろんつまらないプライドなどではない。日頃からきちんとした言葉遣いをする。誤字脱字をしない。それと同じで不正確な情報をやりとりし出すと坂道を転がるように、易きに流れはしないかという懸念があるのだ。(断定できないことは推定として書きます)

コタツ記事という言葉はもう市民権を得たのだろうか。取材にも行かず悪く言えば見たまま聞いたまま右から左へ。張本勲が何と吠えたのか、松本人志が何と指摘したのかとすぐ記事になるが、あれも、やろうと思えば取材せずにテレビを見ながら書ける。

きょうはヒルナンデスの水卜麻美アナウンサーが朝の情報番組に「移籍」した初日で、あいさつで「(緊張から)悪夢を見た」「朝食がのどを通らなかった」と言ったのを視聴したが案の定スポーツ紙が記事にしていた。これがニュースかなと思うが、これが奥村さんの言う「純粋なコミュニケーション」。奥村さんは正確さをなるべく高める作業をしたものを「ニュース」と呼び、区別をしている。

奥村さんいわく、「今、『ニュース』と『純粋なコミュニケーション』を峻別しなければならない、という意識も育っていません」(ネコがメディアを支配する、129ページ)。残念ながら止められない流れとは分かっているが、あきらめずに抗いたい。流れるプールで反対向いて「うおー」と踏ん張るひょうきんな小学生みたいだけれど、逆に悲壮感なしにやってみたい。

ネットでの情報発信は紙でのそれより雑でいいのかと言えばそれは違う。この春、紙からネットの編集現場に来て刺激は確かに多いけれど危うさも感じている。自分を律しないと便利さに流されてしまう。

仕事ではないが、つい先日ショッキングな出来事があった。1年以上愛読しているブログが、パクり被害を受けた。ブログタイトルさえ「寄せて」いる感がある。愛読しているブログは毎回示唆を与えてくれる。そう、示唆。これが重要。やったらいいと思いますよ、オススメですという距離感であって、指示ではない。やるかやらないかは自分次第なんだなといつも思い、刺激を受けてきた。

そんな素敵な文章を、包み紙を変えて世に出す人がいる。売名か、アクセス稼ぎやそれに伴う広告収入目当てなのか。この人がやったことは原作者への冒涜であり、読者への裏切りだ。この件は当事者間のやりとりで一件落着したそうだが、毎回頭を悩ませてブログを書くすべてのブロガーを裏切る行為は二度としないでもらいたい。

この件と奥村さんの著書から学んだ。ネットの「お作法」が紙よりユルくても、ニュースと話題の垣根が低くなろうと、自分は自分が良質と信じた情報発信に努めようと。紙が玉、ネットが石だなんて言わない。ネットには素晴らしい情報があふれている。それと読者をつなぐのは編集者の腕の見せ所だ。自分の意見はもちろん、おすすめの記事や書籍も随時お知らせしていこうと思う。きょうはスポーツの話題なしで書いたが、またあれこれスポーツ談義をしていくので今後とも応援よろしくお願いいたします。


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