黒柴スポーツ新聞

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エースのミスも修正できるカーリングのスイーパー~平昌五輪の女子日本代表はLS北見に決定

2017年9月10日、カーリング女子の平昌五輪日本代表にLS北見が決まった。代表決定戦で中部電力を3ー1で下した。


カーリングの知識は並だから、今回も、野球でいうエースの「スキップ」藤澤五月(LS北見)と松村千秋(中部電力)のプレーの精度が勝敗を分けると見ていた。


それは間違いでもないのだが、スポーツニュースの映像を見て気が付いた。第4エンドだったか、うまくいったショットなのに、藤澤五月の表情が浮かない。これはミスショットなのか?と思いきや、ストーンは狙い通りに円の中心部へ。あれ?


そう、スイーパーが持っていったのだ。スイーパーはブラシで氷の表面をはく人のこと。カーリング協会のHPを見たが、ざっくり言えば、はくと進みがよくなる(興味がある方はぜひHPをご覧ください。雑学満載です)。つまり、藤澤五月のショットは最初弱くて目標地点に届かなそうだったのを、スイーパーがストーンの進みをよくして、距離を伸ばしたのだった。

当たり前だが、カーリングのストーンは一度手放したら「しまった!」と思っても取り返しにはいけない。社会人の仕事も同じ。やり直しがきかないことがいっぱいある。


一方で、何とかなる、何とかしなければいけないこともたくさんある。そういう時こそスイーパーの出番である。トラブったらまずは出来るとこから復旧。チームなら手分けしてリカバリーするのみだ。こういう時こそチームワークが問われるし、先輩ならばスマートに後輩のフォローをしたいものだ。ちなみに1試合でスイーパーがはく距離は2キロにもなるという。チームのために作業する人がいるからこそチームが勝つ。


カーリングの日本代表はチームで選ばれる。もしかしたらドリームチームを作るなら、いったん各チームをばらして人選し直したらどうかとも思った。が、やっぱりチームワークが問われる競技だからこそ、チームとして代表に選ばれるのがよいと思い直した。今回のLS北見を見ていたら、それがよく分かった。


LS北見カーリングの元祖アイドル?の本橋麻里が作った。別にアイドルみたいにはかわいくないのに勘違いしてるという声もあった。そんな時間があるなら練習したまえ的な指摘もあったようだ。が、自分でチームを作るのは見かけの華やかさの割に大変だっただろう。実際、今回のオリンピック出場決定まで7年もかかった。

その本橋麻里は今回控えに回っていた。本橋は2回オリンピックに出ている。その人が出なくても若手が十分な活躍をしてオリンピック出場をつかんだ。本橋がオリンピックの試合に出るのかは分からないが、たとえ勘違いと評されようとわが道を進みきった本橋はエラいなあと思った。


藤澤五月は2015年に中部電力から移籍してきた。今回は古巣との対決に周りがフォーカスしすぎたが、野球で言えば別所毅彦が南海から巨人に移籍したのと同じだ(え、古すぎて分からない?)。強豪の間での移籍。葛藤もあったはずだが、藤澤五月はカーリング選手としてレベルアップするための決断だと言っていた。オリンピック代表決定戦が古巣の中部電力戦というのはドラマチックな展開だった。今回の勝ちは藤澤五月にとっても自分の決断が正しかったと思える出来事になった。そう、決断が間違ってなかったと思うためには結果を出すしかない。


藤澤五月はチームの命運を握るスキップだからプレッシャーも相当かかる。オリンピックはさらに重圧がかかるだろう。だがチームメイトの吉田知那美は同い年であり、NHKサンデースポーツでやっていたが、すでに代表決定戦でも藤澤を上手にフォローできていたそうだ。同じチームに相談相手がいることは本当に心強いものだ。


冬季五輪は夏のオリンピックに比べると地味だ。しかしマニアックな面白さにあふれている。カーリングはその最たるものかもしれない。思えば筆者が初めてカーリングを見たのがトリノオリンピック。予備知識なしで試合を見たが日本が勝ったこともありにわかファンになったものだ。その後、取材でその試合に出ていた小野寺歩さん、林弓枝さんに会えた時は「この仕事をしていてホントによかったなぁ」とミーハー全開だった。こうした先輩たちが道を切り開いたからこそ、今の日本カーリング界の人気と実力があるというものだ。 

カーリング魂。

カーリング魂。

ミーハーにもなっていないという方には映画「シムソンズ」をおすすめする。今のカーリング界も美人選手ぞろいだが、この映画はカーリングに取り組む女子たちのストーリー。出演は加藤ローサら。興味があればぜひ平昌オリンピックまでにご覧ください。きっとよりカーリングが楽しめるはずです。

シムソンズ [DVD]

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いまやなでしこJAPANの話題も激減。スポーツはやっぱり結果がものを言う。メジャースポーツへの道のりは険しいものだ。カーリングはここらでメダルをとれば一気に花開く可能性はある。卓球、バドミントン、陸上男子100に続き、ぜひ花形競技の仲間入りに期待したい。