黒柴スポーツ新聞

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強い組織はミスした人を柱に据える~大阪桐蔭、新主将に「一塁事件」の中川君

新主将候補、という記事は見ていたが満場一致だったそうだ。大阪桐蔭の中川君が新チームのまとめ役に選ばれた。


史上初の2度目の春夏連覇を狙った大阪桐蔭旧チームで主軸だった中川君。しかしあの仙台育英戦でのゲームセット間際の一塁踏み損ないから敗戦につながってしまった。打つ方では活躍していただけに、まさに天国から地獄への転落だった。


組織内において、ミスをした人の扱いは大きく二通り。傷を最小限に食い止めるべく「隔離」するか、成長させて取り返させるためあえて「戦力」にするか、だ。


大阪桐蔭の新チームだって、旧チームに負けないくらいタレント集団だ。いい2年生が残っているからあの敗戦を糧にできる可能性は十分ある。


満場一致、というからには選手間か何かで選出されたのだろう。後継指名や監督からの指名ではなく。だとしたらミスした中川君に新チームの舵取りを任す、ということは新チームとして「ヤツと一緒に成長しよう」という意図だ。


こういうことができる組織は強い。弱いチームならリスクが犯せない。目先の取りこぼしをしないことに気をとられ、ミスした人は怖くて二度と起用できない。


あとは、あの中川君のミスが偶発的なことだった、というのもある。もちろんベースを踏んだ上で送球を捕っていたらよかった。捕って踏めたらよかったけれど、そこにベースがなかった。そしてドラマが起きてしまっただけなのだ。


外部の人間がとやかくいうほど、中川君の主将選出はドラマチックなものではないのかもしれない。ついついそういう目で見てしまうが。


ミスが人を成長させることは、ある。近藤唯之著「プロ野球 運命を変えた一瞬」に書かれているが、284勝を挙げたサブマリン、山田久志能代高校時代、サードを守っていた。そして2年生の夏、秋田大会決勝9回ツーアウトから一塁に悪送球。サヨナラ負けを喫した。

責任を取るつもりかけじめか逃げ出したい心境だったのか、山田久志は監督のところに行き、やめたいと申し出た。そこで監督はまさかの「投手転向」を命じる。


悪送球した野手を投手に起用する。大胆な発想だ。奇想天外だ。ショック療法か、山田久志に投手としての素地があったのか。


しかしこれが大当たり。最後の夏も甲子園には行けなかったが山田久志はピッチャーとして着実に歩んでいた。もしもあの時、山田久志が悪送球していなかったら284勝投手は現れなかったのか。だとしたら阪急の黄金時代はなかったことになる。

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

ミスをしたくてする人なんていない。山田久志は一度はあきらめた野球を極めて大投手になった。ミスを糧にできるかはその後の努力次第なのだ。


投手になってもなお、能代高校時代の山田久志の背番号は「5」だったという。


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