黒柴スポーツ新聞

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五十嵐亮太700試合登板の原動力とは~ナックルカーブには頼らない

ホークス投手陣を支える一人、五十嵐亮太。ヤクルト時代は自信満々にストレートを投げ込み、抑えるか、打たれるかのシンプルな力勝負をしていた印象だった。しかし今は代名詞ともなったナックルカーブを効果的に使い抑えている。通算700試合登板を達成した鉄腕の生き方に学んでみたい。

若き日の五十嵐亮太は自信満々にストレートを投げ込み、打たれるか、抑えるかというシンプルな力勝負をしていた印象だ。石井一久が当時の五十嵐亮太を「コントロールがなかった」と評していたが投手としては致命的。しかしプロ野球選手も社会人も一芸に秀でることは大切。五十嵐亮太は自慢の速球を武器にメジャーに挑戦した。そこでナックルカーブに出合うのが人生の面白さ。速球に磨きをかけるのも一つの生き方だ。だが五十嵐亮太はもう一つの武器を取りに行った。

参考になるのは武器の選び方。五十嵐亮太は速球投手だからその真逆の、スピードを殺し、落ちていくナックルカーブが幅を持たせている。このように元々の武器とは対極的な強みを持つことで戦い方に幅が出る。

だが五十嵐亮太の素晴らしいところはナックルカーブに頼っていない点だ。2017年の交流戦ソフトバンクと広島が勝率1位を争ったが、直接対決でのピンチで起用された五十嵐亮太鈴木誠也から高めの直球で空振り三振を奪った。年齢なりの蓄積されたダメージもあろう。しかしここで力のある直球で三振を奪えるところが五十嵐亮太の真骨頂だ。最初に引用した石井一久の話でも「年齢を重ねても速い球が投げられている」という評価があった。新しい武器を手に入れたらついついそれに頼りたくなるものだ。しかし五十嵐亮太は元々の武器を生かすことで新しい武器を生かしている。もし元々の武器に単に行き詰まりを感じて次の武器を取りに行ったのであれば700試合も登板できなかったのではなかろうか。新しい武器を増やすことも成長。しかしそれを手に入れてほっとしてしまい、成長が鈍化するのは本末転倒だ。幅のある戦い方をするためにもまずはその人本来の長所や得意技、個性に磨きをかけたいところ。まずは自分の強みが何なのか、見直してみよう。