敗者に光を当てるセンス~ソフトバンクが2016年ベストナインゼロと報じたデイリースポーツ
11月25日、2016年のベストナインが発表された。黒柴スポーツ新聞編集局長が購読している新聞では「大谷 史上初の2部門 ベストナイン 広島から5人」という見出しになっていた。
そう、そうなのだ。大谷翔平がすごすぎて、投手と指名打者の2部門で史上初の同時受賞をしたのだ。
これまでの規定でも複数ポジションで最多票を取ったら、指名打者だけは他のポジションと重複でも選ばれる。今回は投手と野手のポジションに限って重複投票が認められた。もし重複投票でなければ投手大谷、野手大谷で票が割れてどちらも選ばれない可能性があった。それを未然に防いだのだからプロ野球記者会のファインプレーである。
いや、今回のネタはそれではない。もう一つのファインプレーをデイリースポーツの視点に見たのだった。
西日本新聞も同様の、いや、さすがホークスのおひざ元の新聞として奮起を促す記事を書いている。
まあ西日本新聞は当然として、デイリーがこういう視点を持っているのがさすがと思った。勝者に光が当たるのは自然。だが敗者に光を当てるのは意識をしないとできない。
ちなみに黒柴スポーツ新聞編集局長の手元にある新聞の記事では、ソフトバンクのソの字もなかった。
ホークスファンにとって屈辱なのは、日本ハムからのべ5人(投手・指名打者=大谷翔平、一塁手=中田翔、三塁手=レアード、外野手=西川遥輝)選出されたこともそうだがそれ以上にロッテから3人(捕手=田村龍弘、遊撃手=鈴木大地、外野手=角中勝也)も選ばれたことだ。
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確かにベストナインは優勝チームから複数選ばれる可能性が高い。セ・リーグは広島から5人(投手=野村祐輔、捕手=石原慶幸、一塁手=新井貴浩、外野手=鈴木誠也、丸佳浩)選出された。
だがそれで言えば日本ハムがのべ5人でロッテが3人ならばソフトバンクはその間の4人くらい選ばれないといけない。11.5ゲーム差をひっくり返されたとはいえ2位だったのだから。
結局、2016年のホークスは個人の積み上げが優勝に至らなかったということだ。確かに和田毅は最多勝だったがけがの影響もあり大谷翔平の輝きの陰に隠れてしまった。三塁手・松田宣浩に至ってはベストナイン得票が6票。レアードは238票。松田宣浩はゴールデングラブ賞だから守備はレアード以上なのだろうが優勝への貢献度は当然優勝した日本ハムのレアード。だからこそこの得票差なのだ。
だからホークスナインには奮起してもらいたい。2017年はゴールデングラブ賞もベストナインも独占するぞ、と。それができれば優勝できるのだから。
ベストナインゼロと報じることで日本ハムとソフトバンク、勝者と敗者の差を際立たせたデイリースポーツ。さすが。既存メディアと個人両方が情報発信できる時代だからこそ、視点や光の当て方が勝負。黒柴スポーツ新聞もユニークな存在を目指そう。
きょうの1枚は吉永幸一郎。捕手として1994年と96年にベストナインに選出されている。しかし96年にベストナインを取ったのに城島健司の台頭もあって97年に一塁手に転向。それだけ城島健司がすごかったということなのか。ただし吉永幸一郎はその年自身初の3割&ホームラン29本の大活躍。こういうことができる人ってカッコいい。