視野が広い人はカッコいい~2016年日本シリーズ解説が細かすぎて「神ってる」宮本慎也
同じ場にいても人によって見ている所も違うしとらえ方も違う。アンテナの張り方が違うのだろうし、感度も違うのだろう。
それを日本シリーズの解説をしている宮本慎也で再認識している。第1戦のTBS中継にがっかりして途中からNHKラジオの宮本慎也解説を聞いたことは以前書いた。第3戦もTBS中継で我慢して聞いていたが8回にギブアップ。また映像を見ながらNHKラジオを聞いた。
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TBS解説は衣笠祥雄と佐々木主浩、ゲストの阿部慎之助の3人。だが第1戦再三の言い間違いで物議をかもした初田啓介アナウンサーともども情感も抑揚もない淡々とした進行に飽きてしまった。深みがない。解説3人とも実績は申し分ないのだがそれと解説の力量が比例するとは限らない。
その点、宮本慎也は実績も知識もトーク力も十分すぎる。きょうもたっぷり楽しませてもらった。
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ラジオに変えた時、広島がチャンスを迎えていた。8回表無死1塁(ランナーは代走の赤松真人)、打席には鈴木誠也。赤松真人が盗塁するかが焦点だったがスタートを切った時の外角低め投球を鈴木誠也が打ちあげてしまった。これで1死1塁。
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「赤松がスタート切っていたので見逃せばノーアウト2塁でしたね。厳しい球でしたがあれを見逃せるようになれば」。なるほどね。
続いてバッター、エルドレッド。「赤松がキャッチャーの構えを見られるようになりましたね。エルドレッドがどういう打者かを考えれば、内角に構えればストレート。外角は変化球なんです」。そう、外角に構えた時が狙い目と言うのだ。だが赤松真人が走る間もなく打ち上げて2死になった。結局次の打者の時に赤松真人は盗塁失敗。攻撃が終わってしまった。
9回表、日本ハムは宮西尚生で締めにきた。「外スラ」と呼ばれる、ボールゾーンから外角いっぱいに決まる球が持ち味だ。右打者には相当遠く感じられ、代打で出てきた下水流昂は当てることも難しいという感じで三振。宮本慎也は外スラについて「(右打者なら)ライトライナーを打つつもりで」と攻略法を解説した。こういう話を先に聞いておけば打者がどう打とうとしているかを注意深く見られるというものだ。ライト岡大海のファインプレーの餌食になってしまったが実際、代打の小窪哲也は引っ張らずにライトに持っていっていた。
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余談だが岡大海の好捕は守備固めでセンターに陽岱鋼が入り岡大海がライトに回ったからこそ生まれたとも言える。近藤健介ではジャンプしても届いていたか怪しい。日本ハムにはツキがあった。
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田中広輔や菊池涼介は上手に宮西尚生の球を打ち返し2死ながら満塁。スコアは1-3と2点差だから1塁上の菊池涼介が逆転のランナーだ。ラジオを聞きながらテレビ画面を見ていた黒柴スポーツ新聞編集局長は打席の丸佳浩にくぎ付け。打席を映すアングルだから当然ではあるが意識が丸佳浩のバッティングに集中してしまっていた。
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ここで耳に入っていたのが宮本慎也の解説。「菊池のリードが小さいんですよね」。
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指摘した理由は二つ。一つ目は自分が逆転のランナーで、いい当たりなら一気に生還するぞという意思を示せという点。確かにいろいろな手法で宮西尚生にプレッシャーは与えられる。
もう一つは丸佳浩が内野ゴロだとしてもリードを大きめにとっていた菊池涼介が2塁にいち早く到達すれば送球されてもセーフ、つまり野選となってオールセーフになる可能性を高められるからだ。
守備の人、2000安打の人、犠打の人とばかり思っていたが走塁、盗塁に関する解説もばっちり楽しませてくれた。やはり解説者には目の前で起きたプレーを的確に意義づけ、背景や見て楽しむためのツボを解説してもらいたい。
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通勤時間、休み時間、移動時間は特別な作業をする必要がないため漫然と過ごしがち。だがアンテナを張っておけば何かしら引っ掛かるもの。意識して探せるよう感度を上げておけば課題解決のヒントが見つかる可能性も高まる。黒柴スポーツ新聞編集局長もできるだけ毎日ブログを書けるよう、ネタ探しを意識して物事を見聞きするようになった。これもちょっとした成長だ。
宮本慎也のように視野が広い人と話をするのは物事が立体的に見えて楽しい。幸い先輩後輩でそういうことができる人がいる。黒柴スポーツ新聞編集局長も見習ってアンテナの数と感度を増やそう。
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きょうの1枚は宮本慎也。このカードは1996年版だが宮本慎也1995年ドラフト2位だからルーキーカードと言ってよさそう。通算安打がまだ11本と2000本を記録する気配は全くない。このあたりにこそルーキーカードの価値がある。宮本慎也はいずれヤクルトの監督になりそうだが視野の広さを生かして侍ジャパンも率いてほしい人。ぜひ選手の野球脳を鍛えてほしい。