黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

代役からでも主役になれる~通算314安打の首位打者・吉岡悟

代役で損をする人と得をする人がいる。得をする人はきっとそのタイミングを自分のものにできた人だ。


その一人、吉岡悟はひょっとしたら首位打者になった人の中で最少安打ではなかろうか? 通算314安打。イチローなら2年でクリアしてしまう本数だが吉岡は14年で積み上げた数字だ。

吉岡はロッテの7年間で66試合しか出ていなかった。そもそもみんな忘れている。プロ野球選手はまず試合に出るまでに競争をしている。レギュラーが不動ならチャンスは限られる。毎年毎年実力や話題性のある新人が入ってくる。すさまじい生存競争だ。


吉岡は大平洋に移籍して2年目に大ブレイクした。基満男二塁手が負傷しての代役だったが後半戦にはレギュラーになった。そのまま首位打者になってしまった。

転機になった試合がある。1976年6月20日の日本ハム戦で3本の三塁打を放ったのだ。これは25年ぶり、プロ野球5人目の快挙であった。


まぐれかと思ったらシーズン13本も三塁打を打っていた。この年の安打数は118本だった。くすぶっていた吉岡の実力が発揮されている様子と三塁打のスピード感が重なって爽快だ。


あってはならないが、けがや病気など、レギュラーの代役は急に来る。「今度の仕事はおまえ、やってみるか」とサラリーマンだって急にふられることはある。


この時の反応が大事。待ってましたと行けるか、準備運動してから動くのか、行くかどうか悩むのか、自信がなくて固辞するのか…。


どれを選ぶのも自由だがチャンスが少ないと日頃感じている人ほどすぐ動かねば結果は出ない。レギュラーの不調を願うのは不謹慎だがいつでも行くぞという気構えは持っておきたいものだ。代役を自分のものにできるかどうかは初動で大方決まる。


吉岡の首位打者は一度だけ。しかも118安打は決して多くない。だがタイトル争いは時の運。そのシーズンは全員同じ条件なのだから特定の年のタイトルは価値が低いというのは言うべきではない。


ちなみに1976年のパ・リーグ打率ベストテンを調べてみたが2位は南海の藤原満で3割
2厘。3位は門田博光で3割4毛。4位は加藤秀司で3割。この顔ぶれに勝つのは並大抵ではない。イチローのようにぶっちぎるのもカッコいいが彗星のように輝いた吉岡のようなプレーヤーもまたカッコいい。


ここまで書いたところで黒柴社長(久々の登場、写真はスマホ用画面で見られます)から散歩のオーダー。社長、さっきクローズアップ現代のオープニングテーマ聞こえましたがこんな時間に? 夕方行きましたよね? 散歩のチャンスはいつでもあると思ったら大間違いです…。結局散歩の代役は頼めない編集局長であった。


きょうの1枚は吉岡。ウィキペディアによると夫人は平和台球場で場内アナウンス担当だったという。移籍して知り合ったのだとしたら素敵な話だ。

f:id:tf-zan96baian-m-stones14:20160721224708j:plain