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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

広島とソフトバンクの日本シリーズなら壮絶な打ち合いは必至

優勝チームに名キャッチャーあり。定番であり、野村克也もそう言っていた。ヤクルトの中村にフォーカスしたNHKの番組でだったが、2016年のヤクルトは苦戦している。





じゃあ両リーグ首位チームの捕手はと言っても全国区とは言えない。ソフトバンク鶴岡慎也日本ハムでも正捕手だったがインサイドワークで名をはせたわけではない。それは広島の會澤翼石原慶幸も同じだ。両チームとも好調な打線がチームを引っ張っている。捕手の活躍は目立ってはいない。





黄金時代を築くには正捕手の固定が必須。古田敦也伊東勤がよい例だ。ソフトバンク細川亨がいたが2016は若手が器用されている。今、黒柴スポーツ新聞編集局長的には見たいキャッチャーがいない。大谷翔平の球速に象徴されるように技術論はあっても投球術が話題になることが稀。うなる場面が少ない。





6月に大谷と吉見一起が投げ合った試合で、吉見が中田翔から三振を奪ったシーンがあった。外角のスライダーがあるのは折り込みずみ。吉見はそれから逆算して討ち取りにかかる。最後はそのスライダーがこれ以上ないコースと高さに決まり、中田はバットを振りきれなかった。思わず球審も派手なアクションで三振を告げた。その後失点して降板した吉見だったがあの1球だけでも中継を見たかいがあった。





つい忘れがちだがプロ野球の対戦は繰り返しが基本。シーズンに何度も対戦し、その結果が次回の対決に影響する。読み合いと裏のかき合い。駆け引きの妙というやつである。野球はサッカーと違い間合いが楽しめる。団体戦でありながら個人戦の積み上げでもある特殊なスポーツだ。この相撲や剣道、柔道的な要素があるからこそ国民的人気を得ていた、と分析している。



投球術について考えたのは江夏豊の自伝「左腕の誇り」を読んでいたから。ようやく読み終えた。剛速球のイメージがあったので力でねじ伏せていたとばかり思っていた。病気や体のコンディションから相手を牛耳るスタイルへと変わっていった江夏。阪神時代とそれ以後はずいぶんピッチングが変わったことだろう。



左腕の誇り 江夏豊自伝

左腕の誇り 江夏豊自伝



山田哲人が好調だがいまいち物足りないのはライバルがいないからだ。だから勝負が引き立たない。ヤクルトは低迷しているから余計に緊迫感がない。ホームランを量産しているものの山田自身ヒリヒリするような感覚はないのではないか。江夏には王貞治という特別なライバルがいて、火花を散らしていた。それにファンは酔った。





黒柴スポーツ新聞編集局長的にはいま最高のバッターは内川聖一。内川とフルカウントで勝負できる投手がイメージできない。江夏が現役だったら内川をどう討ち取るだろうか。





気が早いがこのまま広島とソフトバンク日本シリーズに進出したら打撃戦は必至。救援陣ではソフトバンクの方が手厚く見える。どうも1990年代のヤクルトー西武のイメージが強すぎて日本シリーズは僅差の勝負ほど美しく感じる。打ち合いは見ていて楽しいが玄人は3点以内の決着を喜ぶだろう。そのためにはキャッチャーが試合を演出しないといけないが、広島とソフトバンクの正捕手にそれができるか、今はちょっと期待できずにいる。



きょうの1枚は田淵幸一本塁打王1回。新人王。ゴールデングラブ2回。ベストナイン5回。インサイドワークが特別優れていたとは聞かないが江夏の本では特別な一人として紹介されていた。それにしても江夏も田淵もトレードに出すとは阪神という球団は摩訶不思議である。「左腕の誇り」は江夏の回顧録でありつつ阪神の負のエピソードも満載であった。


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