黒柴スポーツ新聞

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仕事の質を考えると興味深く見えてくる防御率

仕事の量は労働時間に応じて増える。だが質を考えると逆ともとれる。長時間労働イコールたくさんよい仕事ができた、ではない。もっともスーパーサラリーマンは例外。やればやるだけできちゃう人はいる。



興味深い文章を見つけた。「三原ノート」の一説らしい。引用する。
「投手の価値はその投手の労働量、つまり投球回数とその投手の防御率、つまり労働の質で決められるべきである」





現代サラリーマンの胸にも突き刺さる。絶対数が足りず孤軍奮闘せざるを得ない人は除くが、長時間職場にいるだけでは意味がない。質の高い仕事をする人が報酬面で厚遇されてしかるべき。これはプロ野球選手もサラリーマンも同じだ。




大谷翔平も登板数の割には前半報われなかったがだんだん波に乗ってきた。残るは巨人のエース、菅野智之。援護に恵まれず勝ちが付かない状態が続いている。今が踏ん張り時だ。13試合で5勝3敗。防御率は驚異の0.88。セ・リーグのほかのピッチャーは2点台もしく3点台なのだ。





黒柴スポーツ新聞編集局長は少年時代からずっと、新聞スポーツ面の投手10傑(ベストテン)の並び順に違和感があった。なぜ勝利数順ではないのか、と。なぜ防御率順なのだ、と。しかし三原脩監督の持論が今はすんなり腹に入る。防御率のよいピッチャーは良質の仕事ができているのだ。



魔術師〈上〉―三原脩と西鉄ライオンズ (小学館文庫)

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このことが実感できたのは、自分でも労働時間短縮を心掛けるようになったから。告白すると、以前は長く働くことが偉いと思っていた。労働時間が減らない訳だ。もちろんご多分に漏れずどうにもならない時代は何度もあったが。




何時間かかっても最終的にやっつければいい。そんな長時間労働はさしずめ、いてまえ打線である。とりあえず相手より1点でも多く取ればいい。とにかく打ち勝てばいいのだ。だがこんなイケイケの働き方ができるのは20代、やっても30代のうち。第一、40代で長時間労働していたら即体にくるだろう。そうなってからでは遅い上に、後輩のお手本にはならない。




一方で仕事が速いイコール善とも言い切れない。無駄なく高いパフォーマンスをやり遂げる。無駄な四死球を与えず、ヒットも散発に抑える。理想は完封勝ちといきたい。そうそううまくはいかないので失点に一喜一憂してはいけない。というわけで防御率なら2点台に抑えたい。




アクシデントがあっても2-3点までに抑えるという考え方も大事。先日も飛び込みで仕事の発注があったが最小失点で抑えられた時は自信になった。前ならアクシデントに苛立って余計な失点をしていたことだろう。




たまにあるが1球で勝つ人もいる。援護に恵まれるピッチャーもいる。だが三原はそういう勝ちの積み重ねでサラリーが決まるのはだめだと考えていた。防御率は個人の頑張りなくして改善されない。さらにチームへの貢献度としても分かりやすい。




菅野の頑張りは誰もが認めるところ。このままタイトルが取れるのか注目したいと同時に編集局長自身も時短の取り組みを継続したい。読者の皆さんも仕事はお忙しいでしょうけれど、持ち前の頑張りできっちり終わらせて、ブログを読んだり書いたりする時間を一緒に楽しみましょう。楽しみすぎて深夜まで延長戦にはなりませんように…




きょうの1枚は通算防御率1.90の藤本英雄完全試合第1号が示すように抜群の安定感だ。13シーズンで最低の防御率が3.13。1943年は0.73だった。菅野の防御率がこのあとどうなるか、楽しみにしておこう。

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