セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長電撃辞意表明からの後継捕手育成論
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが退任すると4月7日に明らかになった。流通業に詳しくない黒柴スポーツ新聞編集局長でも名前を知っている。読者の皆さんも恐らくセブンイレブンやらイトーヨーカ堂に行ったことがない人はいないだろう。そこの親分が辞めることになった。
スーパーが社会的地位を占めていた時代にコンビニの将来を見出したのは有名な話。これぞ先見の明。ずっと第一線で結果を出されていたことで後継者を育てられなかったとしたら皮肉な話だ。ファーストリテイリングの柳井正氏も同じ課題を持っている。できる人の引き際はかくも難しいものなのか。
一斉に経済系メディアは鈴木氏辞任で記事を書いているだろうが本紙としてはこの後継者問題にフォーカスする。扇の要、キャッチャーの育成とダブって見えるからだ。現に谷繁元信監督が選手兼任をやめたが「全試合任せられるキャッチャーがほしい」という旨の発言をしていた。中日の捕手も切磋琢磨しているだろうが谷繁のレベルなど簡単にいけるはずがない。
巨人も阿部慎之助が不在だが小林誠司が一本立ちしないと由伸巨人は沈む。そう簡単に捕手は育たないのだ。
もろにほころびが出ているのがソフトバンク。今年から抜擢された斐紹(あやつぐ)があえいでいる。細川亨を軸に戦ってきたが確かに世代交代に迫られている。城島健司以降生え抜きでどっしりした正捕手は育っていない。高谷裕亮も昨年頑張ったがもう34歳なんだな。捕手は一人すごい人がいると2番手、3番手はずっと出られないという悲劇も起こる。それも含めてプロの捕手なのだろうが。
巨人の山倉和博。阪神の木戸克彦。ヤクルトの古田敦也。西武の伊東勤。一時代を築いた人の後はどこも大変だったことだろう。今は全体的に捕手の育成期のように見える。2015年はヤクルトの中村悠平と西武の炭谷銀二朗だけが「捕手」として規定打席に達した。ここまで不動の正捕手が少ない時代も珍しいのではないか。
冒頭の鈴木会長のような超大物ではないにせよ、社会人の世界も新年度はあちこちで「不動のエース」が異動したり転職していなくなっていることだろう。強い組織は戦力ダウンするのではなく次のエースが待ってましたとばかりに台頭する。優秀な黒柴スポーツ新聞読者は現エースだろうか、次代のエースだろうか(もしかして旧エース?)。ぜひとも新年度も活躍してもらいたい。
浪花節大好きな本紙としてはついつい北島康介を応援していた。五輪出場は逃したがすがすがしい最後であった。ようやく卒業の公約を果たした高橋みなみ、電撃辞意表明した鈴木会長、燃え尽きた北島。三者三様の引き際であった。それぞれの「後継者」はどんな顔ぶれになるだろうか。
きょうの1枚「きょう1」は一時代を築いた捕手として森祇晶(昌彦)。V9の正捕手。一見古いカードのように見えるが1973年発行のカルビーカードの復刻だ。裏の解説には「後輩の吉田(孝司)選手や、阿野(鉱二)選手を鍛えなくてはならない」とある。森の最終年は1974年。後に主力となる山倉の初年度は1978年。グラデーションのように正捕手を変えていくのはスカウティングも含めた総合力なのだろう。