黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

海老沢泰久氏の「球界裏の演出者たち」を読み返して懲りずにプロ野球ニュース復活待望論

久しぶりにミスタードーナツの商品を食べた。変わらない味だった。1カ月ちょっと前、被災地に行った時の移動中、時間がないので運転中にとった昼食がセブンイレブンのドーナツだった。コンビニコーヒーが社会的地位を確立し、次はコーヒーのお伴になるドーナツというのは分かる。が、やはりドーナツはドーナツ屋に限るな、というのが率直な感想だ。

 

普段の外食でもそうだ。新しい店の開拓にいそしむ方も多いだろうが、黒柴スポーツ新聞編集局長は気に行った所がいくつかあれば足りてしまう。もちろん気にいる味だからなのだがそれ以上に「間違いない」という定番たりえるかということがポイントだ。そんなわけでスポーツ中継もスポーツニュースもフジテレビがいいという好みもずっと変わっていなかったのだが…あの定番がなくなるのは痛すぎる。

 

6日夜にフジテレビのニュース「ユアタイム~あなたの時間~」を見て愕然とした。野球の結果がよくあるニュースのスポーツコーナー程度になっていた。伝える人は田中大貴で変わっていなかったが深掘りしてくれるプロ野球ニュース以来の伝統は感じられない。いや枠が少ないので無理だろう。プロ野球ファンは24時近辺であちこちのチャンネルを右往左往するしかない。まさにプロ野球ニュースすぽると)難民である。ユアタイムのメインパートナー市川紗椰に田中が「伝統の一戦って知ってますか?」と聞いたくだりはずっこけた。

 

 

 

プロ野球ニュースの制作者の話が紹介されている本を思い出した。海老沢泰久氏の「球界裏の演出者」(朝日文庫)の154ページから164ページにフジテレビの鳥居滋夫氏(プロ野球ニュース編集長)らの話が載っている。わずか10ページほどの分量ではあるが、「プロ野球ニュース」ファンにはぜひとも読んでもらいたい。黒柴スポーツ新聞とは異なるギョーカイだが、放送人にもきっと示唆に富む内容だろう。

 

 

球界裏の演出者たち (朝日文庫)

球界裏の演出者たち (朝日文庫)

 

 

海老沢氏は、プロ野球ニュースの登場は野球ニュースの革命だったと表現した。ざっくり言えばたっぷり見せてくれたこと、懐かしいOB解説者の起用、キャスターの佐々木信也によるショーアップだという。

 

 

消えた球団 高橋ユニオンズ 1954-1956青春のプロ野球 (野球雲6号)

消えた球団 高橋ユニオンズ 1954-1956青春のプロ野球 (野球雲6号)

  • 作者: 佐々木信也,長谷川晶一,広尾晃,永田陽一,秋山哲夫,岡田和裕,久保田泰平,雨本洋輔,牧哲夫,雲プロダクション
  • 出版社/メーカー: 啓文社書房
  • 発売日: 2016/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

プロ野球ニュース昭和36年から40年までの間も同名で放送されていた。23時15分から20分間だ。飯島滋弥服部受弘が解説していた。そこへ日テレが同じような番組をぶつけてきてシーソーゲームをしている間に共倒れしてしまったという。これが第一期。

 

次がいわゆるプロ野球ニュース。前のを衣替えして充実させてやってみようと。制作、編集、営業も息が合ったという。1日2試合ずつ、きちんとセ・パ2試合ずつやったという。この方針でパ・リーグの地位が向上した。ちなみに阪神ファンからはパリーグよりうちのゲームを放映しろと抗議が。さらに強硬だったのは中日ファンといい、東海テレビだけ独自にパの試合を削って中日の試合を伝えたそうだ。恐るべしドラゴンズファン。そして地元愛あふれる素晴らしい東海テレビ

 

この調子で書いていたら日付を超えそうなので、興味がある方はぜひ続きを本でお読みいただきたい。他局が追随してくることなどが書いてある。まさかプロ野球を扱う番組がどんどんなくなるとはこの本からは予想できない。プロ野球は一定の地位を保ちつつも地上波からどんどん消えている。一説によればシーズン前半に民放各局が中継をちょろっとやるのは日本シリーズの放映権を得るための名刺代わりという。本当だとしたら何と寂しいことか。純粋にコンテンツとしてプロ野球が選ばれなくなっているとしたら本当に寂しい。

 

速報だけならライバルはいっぱいいる。しかしプロ野球ニュースはたとえゲーム結果が分かっていてもその分析力洞察力演出力から見たくなる番組だった。これは速報力のない媒体にとってとても参考になる姿勢だ。切り口でならば速報媒体に負けないのだ。

 

もしもフジテレビの関係者が何かの手違いででもこの記事を読んでくださっていればどうしても言いたい。ぜひプロ野球ニュースを地上波で復活してください。それまでプロ野球を楽しく深く伝える「プロ野球ニュース」イズムは不肖・黒柴スポーツ新聞が見習いながら引き継ぎますので…。当面はすぽるとの後継の番組「スポーツLIFE HERO'S」を見るしかないのかなあ…。きっと底力を見せてくれると信じたい。ちなみに上記の本でもキャスターの人選についてこう書いてある。以下、引用。

「(キャスターを)野球をよく知らない素人にまかせるのは、話題にはなるかもしれないが長期的にみて危険すぎるという判断が大半を占めたのである」

 

ただし土日は土居まさるはらたいら押阪忍みのもんたらが歴任したという。うーむ…、この流れは加藤綾子アナウンサーの起用につながっていたのか。

 

きょうの1枚「きょう1」はプロ野球ニュース豪華解説陣の一人、西本幸雄。ただし西本監督単独のカードは持っていないので近鉄の記念カードの裏をご紹介。これがほんとの裏技。悲願の初優勝時の西本監督は本当にうれしそうな表情だ。後ろにいるのは佐々木恭介か? 清原事件が起きた夜。もしも西本がプロ野球ニュースに出ていたらあの鼻にかかった声でこう言ったに違いない。

 

「ニヨハラがねえ…」

 

f:id:tf-zan96baian-m-stones14:20160406230905j:plain