黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

横山ホットブラザーズからの高橋ユニオンズからのまじめな話

 3月8日に公開した記事で2カ所間違いがあり、すぐ修正した。石井琢朗が初登板初勝利だったとしたが、正しくは初先発初勝利。もう一つは横浜ベイスターズを「横山」ベイスターズとしてしまった。熱心な読者の方が即指摘してくださったので事なきを得たが、最初の1時間以内にご覧になった方にはご迷惑をおかけしました。

お~ま~え~は~あ~ほ~か~

横山云々の指摘に対して照れ隠しで「横山ホットブラザーズみたい」なんて返事してしまった。そんなプロ野球チームがあったら意外に強そう。漢字で表記すれば「横山熱烈兄弟」とか。念のために解説しておくが横山ホットブラザーズはのこぎりみたいな楽器(初めて知ったがミュージックソーと言うらしい)で「お~ま~え~は~あ~ほ~か~」と言ったり、荒城の月を器用に歌ったりするあの方々である。横浜と横山を間違えるなんて編集局長も「あ~ほ~か~」と言われそうな。

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唯一の「名字球団」

黒柴スポーツ新聞も毎日更新を目指しているので、もう知的なネタにできるものは何でもアリ。早速、名字が付けられた唯一の球団「高橋ユニオンズ」で書いてみる。とはいえそこまで詳しくないので教科書は2004年発行のベースボールマガジン秋季号「球団興亡史」。とても勉強になる文献だ。見つからなかったので類似の本を張りつけておく。

もとは7球団制の解消目的

忙しい読者のためにざっくり解説。昔、パ・リーグは7球団だった。1チームが休みになったりダブルヘッダーを組まなければならない状態の解消と、8チーム制だった大リーグに倣う意図もあった。永田雅一大映オーナーが財界の大物、高橋龍太郎(大日本ビール社長、元通産大臣)を口説き落とした。「チーム作って」。各球団からの「一流選手」供出という条件を出され1953年、史上唯一の個人名付き球団「高橋ユニオンズ」が生まれたのだった。

観客わずか21万人

我々は知っている。楽天イーグルス創設を思い出してほしい。オリックス近鉄も「どーぞどーぞ」とは選手を供出しなかった。礒部公一岩隈久志といった侍は楽天入りしたがそうそう戦力が整うものではない。ユニオンズも初年度1954年は140試合で53勝84敗3分け。勝率3割8分7厘だった。恐ろしいのは観客動員が21万2400人。ソフトバンクなら7試合で達成できてしまうかもしれない。

トンボ鉛筆がスポンサーに

1955年度はトンボ鉛筆がスポンサーとなり「トンボユニオンズ」に。しかし141試合で42勝98敗1分け、勝率3割ちょうど。パ・リーグ総裁の永田雅一が作った「勝率3割5分未満のチームは罰金500万円」が適用された。トンボ鉛筆はスポンサーを撤退した。

佐々木信也が登場

1956年度は再び高橋ユニオンズに。今度は明るい話題があった。慶応大学から佐々木信也が入団。新人として今も破られていない180安打(このシーズン最多安打)を放つも21勝を挙げた西鉄稲尾和久が新人王に輝いた。154試合で前年を上回る52勝だったが98敗4分けで勝率3割5分1厘。あの罰金適用スレスレだった。

増やしたのに減らされた

高橋龍太郎はチームがどんなに弱くともしょっちゅう試合を見に行ったそうだ。素晴らしい。なのにオーナー会議で6球団制となりユニオンズは大映に吸収合併された。ゆえに佐々木は1956年高橋、57年大映、58~59年大毎と次々に所属チームの名前が変わり、わずか4年で現役引退した。その後「プロ野球ニュース」の司会者として一時代を築いたのは有名だ。写真は大映ユニオンズ時代のユニフォーム姿。ちなみに高橋ユニオンズについては長谷川晶一さんが本を書かれております。

 

最弱球団 高橋ユニオンズ青春記

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高橋ジャイアンツは大丈夫か 

特にオチも思い浮かべず書き始めたが時事ニュース的にはこのオチしかない。2016年シーズン、「高橋ジャイアンツ」は大丈夫なのか。高木京介投手の野球賭博が発覚。一連の不祥事ではチーム4人目だ。唯一救いだったのは本人が勇気を持って公の場で謝罪したことだ。嘘をついていたのだから美談でも何でもないのだがけじめの一つにはなったと思う。

無敗記録保持者 

高木京介投手は136試合でいまだ0敗と最長無敗記録保持者。球界にとどまれるのか分からないが過去の事例ではプレーができなくなっても仕方ないのではないか。なお一つ声を大にして言いたい。黒い霧事件が毎回引き合いに出され当時6選手が処分を受けたと記述されるが、あの名投手は復権している。このことには可能な限り触れてほしい。笹倉明さんの力作、ぜひご覧ください。

復権―池永正明、35年間の沈黙の真相

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球界では再調査があるというが、場外の事件はもううんざり。ファンのためにも「もしも」ほかに事実があるならこの際、膿を出し切るべきだ。


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