黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

福士加代子8年越しの激走、これが本当の臥薪嘗胆だべ

 

大阪国際女子マラソンでワコールの福士加代子が優勝した。

タイムは2時間22分17秒。

レースはリオデジャネイロオリンピックの代表選考レースだった。

その派遣設定タイム2時間22分30秒を見事クリア。

「1等賞とったよー」

よゐこ濱口ばりの絶叫がスタジアムに響いた。

 

マラソンをなめるな

福士加代子の力走を見て、臥薪嘗胆というフレーズが浮かんだ。

始まりは2008年の大阪国際。

何度も転倒しながら、そのたびに生まれたての仔馬のように立ち上がった。

北京オリンピックの代表選考会でもあったが、19位だった。

 

福士加代子は事前に一度も40キロ走をしなかったという。

それでなくとも福士加代子はトラックのエース。

「マラソンをなめるな」という雰囲気は確かにあった。

告白すれば、本紙編集局長もマラソンは見る専門のくせに「同感」と思っていた。

もしこれで福士加代子が天下をとったらこれまでのスタミナ練習は何だったのか、となってしまう。

 

照れ隠しなのか、いつもそうなのか。

福士加代子は相手をからかうような言動をする(ように見える)。

「それ見たことか」

福士加代子の敗戦後、想像を絶するバッシングがあったに違いない。

 

大阪の借りは大阪で

大阪の借りは大阪で、というつもりだったか。

2012年、またも五輪選考会である大阪国際にエントリー。

しかし今度は調整ミスにより終盤失速。

9位という結果になった(後にドーピング処分があり8位繰り上げ)。

福士加代子は大阪で勝てないのか。

 

のるかそるかの勝負

今回もオリンピック選考会。

天満屋重友梨佐福士加代子が有力選手だった。

設定タイムをクリアし、日本人1位の者がリオへの切符を手中にする。

だが、15キロあたりで早くも重友が脱落。

のるかそるかのハイペース勝負となった。

日差しもそこそこ強かったからか、中盤まで先頭集団にいたチェピエゴは脱水症状で転倒してしまった。

30キロでペースメーカーが離脱すると、後は福士加代子の一人旅だった。

 

恩師も走る

しかし、問題はタイムである。

いくら優勝しても、派遣への目安をクリアしないと価値があせてしまう。

もし3月の名古屋ウィメンズで好タイムが出てしまえば、大逆転ということも…

そこそこ余裕があったはずだが、さすがに疲労は隠せない。

2時間21分台か、22分台か、微妙になってきた。

スタジアムに入ると、大歓声が福士加代子を待ち受けていた。

ラスト100メートルあたりから、トラックの内側でワコールの永山監督が並走。

恐らく福士加代子と共に、あの時バッシングに耐えた永山監督。

ドラマチックな中継の画的にはばっちりだった。

 

振り返って確認

締めは福士加代子

通常のマラソンのように勝てばOKではないので、タイムを確認。

胸でテープを切った後、走ってきた方向に置かれた時計の表示に目をやった。

「2時間22分17秒」

ここでガッツポーズ。

そして永山監督と抱き合った。

まさに臥薪嘗胆。

8年前、福士加代子を批判した面々も、今回は誉めざるを得ないだろう。

ゴール後の相変わらずのはしゃぎっぷりには閉口したに違いないが。

 

お兄さんがクリソツ

なお、永山監督の並走シーンと共に目が釘付けになったのが、沿道の福士加代子のお兄さん。

似すぎである。

でも、ご家族の皆さんはお喜びであろう。

本当におめでとうございます。

 

「本当によかったですね…」

中継した関西テレビにとってはウハウハな結末になったが、最高のオチもついた。

スタジアムに福士加代子が入る直前、感極まった解説・増田明美さんが泣いたのである。

「本当によかったですね…」と言ったように聞こえた。

増田さんと言えばものすごく細かい情報とちょっとした言葉遊び、何より選手への温かい目線が抜群の解説者である。

恐らく部外者で最も感極まる材料を持っていたに違いない。

中継車はもちろん、スタジアムの中には入れない。

福士加代子のゴール後、放送席に来たのは一緒に乗っていたもう一人の解説、高橋尚子

増田さんに、福士加代子のレースを振り返ったり、福士加代子に直接話を聞いてほしかったが、もう二度と中継中に姿を現さなかった。

そして早速ネット上で「増田さん号泣」と報じられていた。

 

本紙も福士を見習って

かくいう本紙もなんだかんだで涙の話題が多い。

そして涙ながらにお礼の報告をついでに。

 ブログ開始、最初の1カ月を何とか終えました。

まだまだ小さいメディアですが、いろんな出会いも激励も。

本当にありがとうございます。

アクセスがわずかだった日もありました。

でもその日があったからこそ今がある、と思いたい。

継続は力なり、と言ってくださった方もいらっしゃいます。

アクセス至上主義になってはいけませんが、本紙も臥薪嘗胆。

もっともっと愛されるメディアを目指します。

今後とも応援よろしくお願いいたします。

 

画がないので苦肉の策

さすがに福士加代子の野球カードはなし。

福士敬章はまた書く機会がありそうなので温存。

というわけで禁じ手をしておきます。