黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

組織の新陳代謝はほどほどに~日本ハム中田翔、大野奨太、増井浩敏、宮西尚生はFAするのか

日本ハムが4人もFA流出の危機だという。中田翔増井浩俊宮西尚生大野奨太。いずれも2016年の日本一中核メンバー。球団としての戦略や力量が問われる局面だ。

人事の固定化は良し悪し。経験を積めば安定感は増すが、よほどアグレッシブに構えない限り空気はよどむ。だからこそ新しい血は価値がある。しかし、新陳代謝はほどほどにしないと体力は奪われっぱなしになる。この塩梅が悩ましい。

いい例が落合博満政権後の中日。アライバ、森野、岩瀬仁紀谷繁元信和田一浩ら間違いのない面々が安定した成績を残した。その代償として若手の台頭を阻んだ。2015、16年の低迷はなるべくしてなったとみている。荒木雅博岩瀬仁紀は2018年も現役続行らしいが往年の活躍を求めるのは無理というもの。きれいに若手にバトンタッチしていく難しさを露呈している。芸の継承は一朝一夕にはいかない。だからこそ日々人材は育てねばならない。近年、連覇とか黄金時代が続かないのはFA制度と関係があるとみている。

2017年シーズンをもって片岡治大が引退して気付いたが、西武は人材を供給してばかりだ。片岡のほかにも中島宏之、涌井秀章岸孝之と中軸やエースが移籍していった。これでは黄金時代なんてつくれるはずがない。西武が絶対的な強さを誇った時代にポロポロ選手が移籍していったりしていただろうか。

埼玉西武ライオンズ 2008優勝記念DVD

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西武はどちらかと言えば選手の意思で移籍が決まっているように見えるが日本ハムはどうも違う。大田泰示とのトレードでは吉川光夫を指名。吉川は絶対的なエースではなかったもののMVPにもなった男。大田泰示が奮起して過去最高の成績を修め、逆に吉川が低迷したため問題化しなかったが当初は思い切ったトレードに見えた。そして中継ぎにして1億円を稼ぐ男、功労者の谷元圭介をシーズン途中で中日に金銭トレード。ここには、若手を育てるためベテランを整理(言葉としてはキツいが)する意図が透けて見えた。となると、増井浩俊宮西尚生大野奨太も、もしFA宣言したら無理には引き留めないのではないか。大野奨太には早速中日が興味を示している。もし日本ハムが若手育成優先なら大野奨大は乞われている中日で頑張るのも一つの生き方と思う。必要とされる人材は素晴らしい。増井も宮西も素晴らしい選手で実績は十分だから、どこの球団でもほしいし、どこの球団でも結果は残せるだろう。もちろん巨人入りして大コケした森福允彦や山口俊みたいな例もあるが。他人事ながら心配するのは日本ハムが新陳代謝をきっちりやろうとするがゆえにチーム愛が育ちにくくならないかということ。いつまでも人材供給源でいては、オレもいつかは出されるのかなと選手が思っても不思議ではない。今や転職も珍しくなく終身雇用をありがたがる時代でもないが、生え抜きが支えねばならない局面はあるし、チームの顔というのはいつでも必要とされる。主力が毎年FA市場に並ぶのは日本ハムファンとしても複雑に違いない。そこにスマートな球団経営の哲学があるかもしれないが、あまりにサクサク人を入れ替えると日本ハムが人を大事にしていないと勘違いされるんじゃないか、と危惧している。中田翔には触れずじまいだったが日本ハム残留がベターと見る。攻撃力がほしいロッテや中日、ヤクルトなら出番はあるかもしれないがいかにもお客さんで終わりそう。茶髪やひげ込みならオリックスDeNAでもいけそうだが。個人的にはDeNA入りして筒香嘉智、ロペス、中田翔の重量打線を組み広島と張り合ってほしい(そうでもしないと広島は止められない)。しかし中田翔日本ハムを出たら、引退試合を組んでもらえる選手にはならない気がする。これは何の根拠もないのだが。逆に日本ハムに居続けられたら温かく見送られると思う。そして日本ハムに居続けられるということはそこそこの成績を残し続けられているということにほかならない。

この期に及んでまさか巨人が中田翔に触手を伸ばすとも思えないが…これまでのFA補強を見てきたらあり得る話ではある。

松田宣浩が一旦海外に行きかけたことはあったがソフトバンクは不思議とFAで出ようかなという選手は少ない。やはり連覇が狙えるチームというのは人心が乱れないことに加え「必要な」補強がハマるチームだ。そこがソフトバンクと他球団との大きな違い、と黒柴スポーツ新聞はみている。

松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)

松田宣浩 (スポーツアルバム No. 31)

補強も必要としない広島はさらにすごい。投手陣も若いし久々に黄金時代がつくれる雰囲気だ。気になるのは石井琢朗コーチ、河田雄祐コーチの退団。共に単身赴任が影響しているようだが、チームに何の変化が起きないはずもない。クライマックスシリーズ、あるいは日本シリーズで広島をどこかが倒せば多少は広島の勢いが衰えそう。逆に日本一になったら当分広島の天下になるに違いない。
広島アスリートマガジン2012年11月号

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1年前に抜群の安定感だった日本ハムと、苦杯をなめた広島は、1年後、完全に立場が逆転している。組織の運営はそれほどに難しいのだが、それも含めて楽しんでしまうプロ野球ファンが一番腹黒いなあと思う。

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大変、友人のブログがパクられた!~誤りやパクりが許されない理由

先日、読者から質問を受けた。ライターなんですか?と。そう聞かれるくらいだから、文章が下手ではないんだなと少しホッとした。あらためて書くと、筆者は新聞記者経験がある。今はネット版の編集者をしている。表現方法の試行錯誤の一つとしてこのブログに臨んでいる。

今、奥村倫弘さん著「ネコがメディアを支配する」を読んでいる。

奥村さんは読売新聞記者を経てヤフーに入社。今はウェブメディア「THE PAGE」編集長をされている。著書に「ヤフー・トピックスの作り方」がある。「ネコがメディアを支配する」はまだ読み終えていないが共感が多いのでもう自分は行動に起こすことにした。具体的には「信頼に足る情報を発信しよう」と。
ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

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もちろんこの黒柴スポーツ新聞はスポーツ好きの人たちと過去や今、近い将来の話題を共有する場だからそんなに凝り固まってコラムを書く必要もない。仕事は報道だがブログは私的な修業の場だから万一誤りがあってもきちんと修正するなど常識的に対応さえすれば深手は負わない。しかし、それに甘えてはいけない。理由はいくつかある。

まずは読者の存在。わざわざ隙間時間を縫って(笑)このブログに遊びに来てくれている。毎回記事に評価の☆をつけてくださる方もいる(いつもありがとうございます!)。まだまだのびしろのある未熟なブログゆえ、ついついアクセス数に一喜一憂してしまうが、究極は1アクセスでもその1ユーザーに何らかの刺激や変化をもたらせたら書いたかいがある。そこに誤った情報があっていいはずがない。

二つ目は新聞社にいることへの矜持。もちろんつまらないプライドなどではない。日頃からきちんとした言葉遣いをする。誤字脱字をしない。それと同じで不正確な情報をやりとりし出すと坂道を転がるように、易きに流れはしないかという懸念があるのだ。(断定できないことは推定として書きます)

コタツ記事という言葉はもう市民権を得たのだろうか。取材にも行かず悪く言えば見たまま聞いたまま右から左へ。張本勲が何と吠えたのか、松本人志が何と指摘したのかとすぐ記事になるが、あれも、やろうと思えば取材せずにテレビを見ながら書ける。

きょうはヒルナンデスの水卜麻美アナウンサーが朝の情報番組に「移籍」した初日で、あいさつで「(緊張から)悪夢を見た」「朝食がのどを通らなかった」と言ったのを視聴したが案の定スポーツ紙が記事にしていた。これがニュースかなと思うが、これが奥村さんの言う「純粋なコミュニケーション」。奥村さんは正確さをなるべく高める作業をしたものを「ニュース」と呼び、区別をしている。

奥村さんいわく、「今、『ニュース』と『純粋なコミュニケーション』を峻別しなければならない、という意識も育っていません」(ネコがメディアを支配する、129ページ)。残念ながら止められない流れとは分かっているが、あきらめずに抗いたい。流れるプールで反対向いて「うおー」と踏ん張るひょうきんな小学生みたいだけれど、逆に悲壮感なしにやってみたい。

ネットでの情報発信は紙でのそれより雑でいいのかと言えばそれは違う。この春、紙からネットの編集現場に来て刺激は確かに多いけれど危うさも感じている。自分を律しないと便利さに流されてしまう。

仕事ではないが、つい先日ショッキングな出来事があった。1年以上愛読しているブログが、パクり被害を受けた。ブログタイトルさえ「寄せて」いる感がある。愛読しているブログは毎回示唆を与えてくれる。そう、示唆。これが重要。やったらいいと思いますよ、オススメですという距離感であって、指示ではない。やるかやらないかは自分次第なんだなといつも思い、刺激を受けてきた。

そんな素敵な文章を、包み紙を変えて世に出す人がいる。売名か、アクセス稼ぎやそれに伴う広告収入目当てなのか。この人がやったことは原作者への冒涜であり、読者への裏切りだ。この件は当事者間のやりとりで一件落着したそうだが、毎回頭を悩ませてブログを書くすべてのブロガーを裏切る行為は二度としないでもらいたい。

この件と奥村さんの著書から学んだ。ネットの「お作法」が紙よりユルくても、ニュースと話題の垣根が低くなろうと、自分は自分が良質と信じた情報発信に努めようと。紙が玉、ネットが石だなんて言わない。ネットには素晴らしい情報があふれている。それと読者をつなぐのは編集者の腕の見せ所だ。自分の意見はもちろん、おすすめの記事や書籍も随時お知らせしていこうと思う。きょうはスポーツの話題なしで書いたが、またあれこれスポーツ談義をしていくので今後とも応援よろしくお願いいたします。

福本豊の盗塁世界記録と黒い爪~9月26日、シーズン最多記録樹立

きょう9月26日は福本豊が当時のシーズン最多盗塁105を記録した日だ。NHKラジオで朝、聴いた。

福本豊が世界に誇れるのは、塁間が日米同じであるから。じゃあ王さんのホームラン世界記録は誇れないのかと言われるとそうではないのだが、ともかく日米問わず、ということが言いたい。まあキャッチャーがアメリカの方が強肩だという意見もあるとは思うが。

きょうもまた出典は宇佐美徹也先生の「プロ野球記録大鑑」。福本豊が抜いた世界記録はモーリー・ウィルスが1962年にマークした104盗塁だった。

福本豊の何がカッコいいかって、記録に執着しなかったところ。世界記録を作った日に阪急が優勝を決めたので、福本豊は残り13試合中7試合を休んだ。休まされたのかもしれないが、福本自身が記録を目指していたら記録はもっと伸びたに違いない(結局106盗塁)。

素人だから思う。せっかくだからもっと貪欲に盗塁しておけばよかったんじゃないの?と。のちのち誰かに追い付かれちゃうんじゃない?と。

実際、世界記録は1982年にリッキー・ヘンダーソンが149試合で130盗塁と途方もない記録を作った(149試合制なのか149試合出たのかは不明)。でも福本の106盗塁は130試合制での記録。リッキー・ヘンダーソンより19試合も厳しい条件での106盗塁だから、同じ試合数なら十分張り合えただろう。

やれるけど、やらない。これはレベルが高い人だけの選択肢だ。レベルが低い人は「やれない」としか言えない。豊かに生きるためには選択肢が多い方がいいに決まっている。

福本豊に関してすごく言いたいのは、安打も2543本打っていること。3割も7回記録している。どうしても盗塁に目がいってしまうから仕方ないのだが、盗塁するためには安打や四死球などで出塁しないといけない。ちなみにホームランは208本も打っている。ゴールデングラブ賞は12回。まさに走攻守何でもできた人なのだ。

そんな福本豊もドラフトは7位と下位指名だった。それが世界の盗塁王になる。下剋上もいいとこだ。元々素質がある上に相当な努力があったに違いない。大好きなエピソードを一つ。ベースボールマガジン社「GREAT RECORDS 『不滅の金字塔』大全集」に収録されているが、福本豊のスパイクは一足わずか400グラムで、足のサイズより5ミリ小さい。「感覚」を大切にしていたからだそうだ。その代償として爪は死んだ。これぞプロフェッショナルだと思う。あの人がデキるのは才能があるからだ、というのは間違いではない。間違いではないけれど、才能だけでうまくいっているわけではないことも知っておきたい。

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何度もうまくいく人は地力がある~9月25日、沢村栄治が史上初のノーヒットノーラン

物事がうまくいくのには二通りある。実力があるからか、たまたまとか運がいいか。何度もうまくいく人はやっぱり力がある。

きょう9月25日は沢村栄治が史上初めてノーヒットノーランをした日だ。沢村栄治は3回もノーヒットノーランをやっている。通算勝利こそ63勝止まりだが、戦地に送られさえしなければもっともっと活躍したに違いない。

沢村栄治とその時代

沢村栄治とその時代

63勝のうちの3勝がノーヒットノーラン。かなりの割合だ。しかもきちんと通算4勝目、21勝目、49勝目とほどよい間隔で達成している。ノーヒットノーランをする、というよりは「できてしまう」のかもしれない。
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1回もノーヒットノーランができない人が山ほどいるのに、一人で3回。これはほかに外木場義郎しかやっていない。外木場はうち1回が完全試合だし、初勝利ノーヒットノーランだから余計すごく思うが、戦争に巻き込まれた悲劇からどうしても沢村栄治に肩入れしてしまう。ちなみにこの記事は記録の神様、宇佐美徹也先生の名著「プロ野球記録大鑑」を基に書かせていただいている。いい機会だから呼び掛けたい。いまやネットで何でも調べられる時代。であるからこそ呼び掛けたい。出典を明示することで出典元に敬意を表しませんか、と。で、またまた本に教えてもらった。外木場義郎もまた、初勝利、20勝目、60勝目といい感じの間隔でノーヒットノーランを達成していた。
プロ野球記録大鑑〈昭和11年‐平成4年〉

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筆者はいろいろなことを「だいたい」で済ます悪い自覚があるので、うまくいった時も何となくうまくいく、ということばかりだ。だから力がついている自覚がない。これは本当によくない。やはり地力をつけた上で物事を成功させるのが一番だ。そうやってこそ「ブランド」化されていく。まぐれにはブランドなんてない。

と、正論を一つ書いておいて抜け道も一つ。ノーヒットノーランを2回やった人の一人に中尾輝三(碩志、巨人)がいる。何と1回目には四球10個、2回目は四球7個と死球1個を与えている。しかも2回ともあわや安打の当たりを打たれながら、右翼中島治康の強肩で一塁走者を二塁で刺している。そもそもその走者も四球だった。

そう、失敗しても後のフォローがしっかりできたらうまくいく時もあるのだ。そしてうまくいかせてくれる中島治康的な協力者がいる人も成功する。地力をつけるか、よき味方を得るか。成功するにはどちらかが必要だ。

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続投でも交代でも意思の疎通が大事~ノーヒットノーラン中のDeNA石田に降板命令

もしもあなたがプロ野球の監督で、自軍の投手がノーヒットノーランを継続していたら交代を命じられますか?

2017年9月23日、DeNAの先発石田健大が六回を終えて中日打線をノーヒットノーランに封じていた。スポーツナビのアプリを入れているのでスマホ画面に通知が来て気が付いた。試合自体はテレビで見られないから結果を楽しみにしていた。で、後でスマホを見たら中日が得点していた。ああ、石田健大は打たれたんだな、と思ったら何と代打を送られて交代していた。

これが1-0みたいな僅差なら分かるが何せ13-0だったから何で?と思ったがデイリースポーツ記事で気が付いた。そう、ラミレス監督はCS進出を見据え石田を「温存」したのだ。六回で上がれば疲労はやや少なく済む。次戦に備えられるのだ。目の前のことだけにとらわれない、中長期的な判断。ある意味プロ野球の監督はこうでなくてはならない。

これが中畑清とラミレス監督の違いである、と一刀両断もできないがファンを大切にする王さん長嶋さんの系統の中畑清は石田健大のノーヒットノーランを継続させただろうと黒柴スポーツ新聞は見ている。少なくともヒットを打たれてからの交代だっただろうなと。

続投と交代。どちらが正解かというより大事なのは意思の疎通だ。ラミレスが交代を告げると石田健大は「(もっと)いきたい気持ちがあった」としながらも「ハイ!」と交代に応じている。次の登板のためと分かっているからだ。

部下とボスの意思の疎通はかくありたい。なぜ今その判断か理由が分かれば下はついていきやすい。逆なら道に迷い無駄な時間と体力を費やしてしまう。そして結果は出ない。これは上司と部下だけじゃなく同僚との間にも当てはまる。理由や背景をきちんと説明できる人。筆者もそこを目指そうと思う。

2016年に初のCS進出で味をしめたDeNA。今年その勢いを断ち切っておくのが巨人にとっては中長期的に見て必要な戦略だ。地味に続けてきた12球団唯一の11年連続CS進出へ、巨人はまさに正念場を迎えている。

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結果は出せる時に出しておく~脇腹を傷めたソフトバンク柳田悠岐はCSに間に合うのか

勝つならさっさと勝つ。結果は出せる時に出しておく。それが無難だと思えたのはソフトバンクの主軸、柳田悠岐のけがを知った時だ。

脇腹を傷めた柳田悠岐。フルスイングが真骨頂だからファンは「やるな」とも言えない。しかしホークスファンには痛い思いがある。2016年のホークスは柳田悠岐の離脱とともに失速したからだ。いつも全力プレーがギータの代名詞だからけが自体は責められなかったのだが、けがのきっかけになったあのスライディングキャッチがなければ…と思ったファンは少なくあるまい。

柳田悠岐がけがしたんだから結局今年も去年と一緒じゃないと言われそうだが、それは違う。今年の離脱はリーグ優勝を決めた後。ホークスがぶっちぎりで優勝した結果、クライマックスシリーズまで約1カ月の時間的余裕が生まれた。柳田悠岐は全治3週間だからスケジュール的には間に合う。あとはコンディション的に間に合うかどうかだ。

とにかくクライマックスシリーズ絶望、なんてならなくてよかった。デスパイネがいくら頼りになると言ってもシリーズは初出場だし、マークが集中したらシーズンのようにもいくまい。ともかく相手投手に柳田、デスパイネを4回当てることが「圧」になるのだ。スポーツ選手と一般人ではけがの回復スピードも違うから全治3週間が額面通りなら必ず間に合う。ただし脇腹はくせになると怖い。ぎりぎりまで体を休めてほしいと思う。

従来のパ・リーグ最短優勝記録を1日更新したホークス。おかげで柳田悠岐の治療期間に加え、サファテにも休暇が発生した。2試合に1回以上投げてきた岩嵜翔には休みが与えられなかったのは工藤公康監督流のギャグにも思えたが、あまり余裕を見せすぎるのもよくない。フツーが一番だ。

明日24日の試合には攝津正が復帰する。東浜巨、石川柊太、松本裕樹ら若手の台頭ですっかり影が薄くなってしまったが攝津正は紛れもなくホークスのエースだった。その前は優秀な中継ぎだった。岩嵜翔の登板数もすごいが攝津正もシーズン70試合、平気で投げていた。

今、もろにその影響が出ているように思えるが、攝津正はここしかないという時期に勝ちまくってエースの地位と億単位の年俸を勝ち取った。そう、勝つべき時に勝てば成功するのだ。もはや攝津正にエース級の投球を望んではいけないのかもしれないが、経験は豊富。クライマックスシリーズに間に合うとしたら投手陣に厚みが増す。こういうテストができるのもホークスが優勝を決めているからにほかならない。攝津は攝津で仲間たちが作ってくれたこのテスト機会をぜひ生かして復活ぶりをアピールしてもらいたい。

いつかは終わらせなければならない仕事や課題があるならさっさと終わらせるに限る。それができるなら苦労はしない、のかもしれないがそれができる人はどんどん先に行ける。


マラソンの高橋尚子も言っていた。「魔の1メートル」。いつかは追い付けるとタカをくくっているうちにどんどん差がついていく。そして気付いた時にはもう追い付けなくなっている…そうならないよう、追い付ける時に追い付いておく、勝てる時に勝っておく、やれる時にやっておく、倒せる時に倒しておく。やはりこれが鉄則だ。魔の1メートルにはくれぐれもご用心を。

失敗は成功で上書きするに限る~ソフトバンク・サファテ胴上げ投手で臥薪嘗胆

2017年9月16日、ソフトバンクが2年ぶりのシーズン優勝を果たした。これまでのスピード記録も1日更新した。


セーブ機会ではなくても最後はサファテ。普段頑張っている人を立てる、称えるのって素晴らしい。それをするためには日頃から誰がどう頑張っているか知っていないとできない。

もっとも、サファテの頑張りは数字に表れている。前人未到の50セーブ台。最終的にどこまで行くのか楽しみだ。それとも、優勝が決まったから残りは分担して最後を締めるのか。クライマックスシリーズもあるから調整も必要だ。


外国人通算最多セーブ(従来はクルーンの177S)、外国人初の通算200セーブ、パ・リーグタイの17試合連続セーブなどなど記録づくめのシーズンになった。

こう書くとすべて順調だったような見えるが、1年前は屈辱を味わった。8月23日の楽天戦、9回2死満塁からのピッチャーゴロを捕球できず、転倒して足首を痛めてしまった。結局、ソフトバンクはこれで失った1点に泣き敗れる。まだ日本ハムに首位はギリギリ譲らず済んだが、逆転優勝を許したポイントの一つにはなった。

だからこそ、分かりきってはいたがサファテに胴上げ投手になってほしかった。そう、屈辱は成功で取り返すしかない。しかない、というか、したらスッキリする。いちいち引きずらないでよい思い出に上書きしたらいいのだ。


最近では桐生祥秀。100メートルで日本人初の9秒台をマークしたわけだが、日本選手権ではまさかの失速。世界陸上の個人代表を逃してしまった。

そこから盛り返しての9秒台というところに価値がある。順調にレベルアップして大学入学早々に9秒台をマークしていたらこんな苦労はせずに済んだ。が、低迷期を乗り越えた経験は今後似たようなことがあった時の引き出しになるし、将来指導者になるならアドバイスも送れる。挫折を知ることはマイナスばかりでもない。


2017年シーズン、サファテの言動が不穏な空気を作ったことがある。先発陣のふがいない投球にしびれを切らし、しっかりしろと注文を付けた時だ。もちろん先発陣だって打たれようと思って投げているわけではなかったのだが。


ソフトバンクデスパイネ柳田悠岐ら強力打線の印象が強いが、五十嵐亮太岩嵜翔、嘉弥真新也、サファテら中継ぎと抑えが踏ん張っていることで連敗を免れてきた。サファテもそれを言いたかったのだろう。

ライバルチーム向けではなく味方への苦言。これは非常に危険だ。オレは頑張っているのにアイツは何なんだというレベルの低い指摘ならチームの雰囲気を悪くするだけ。言う意味がない。言う人にもそれ相応の力量と言動が求められる。でないと「アイツは何様だ」となってしまう。結局点に向かって唾をはくことになってしまう。


だから、サファテの「喝」の後でホークスが負けなかったのが大きかった。


2016年、日本ハムに歴史的逆転優勝を許したホークスにとっても2017年にシーズン優勝を果たすことが屈辱を晴らす唯一の手段だった。柳田悠岐の離脱を補える大砲が不在だったのに対し日本ハムはレアードが活躍。ソフトバンクはきっちりシーズンオフにデスパイネを獲得。引き抜かれたロッテには申し訳ないがこの補強は効果的だった。ソフトバンクが強すぎてみんな忘れているが本来は内川聖一が四番である。もしデスパイネがいなければ2016年シーズンの二の舞になっていたかもしれない。やはり弱点の克服や組織のほころびはすぐ手当てするに限る。

1958年以来のセ・パ同日優勝は広島の敗戦によりなくなったが、順当にいけば日本シリーズソフトバンクと広島の対決になる。どちらも強力打線で打ち合いになれば死闘になりそうだ。サファテがあと2回胴上げ投手になった時、ホークスは2年ぶり日本一の栄冠に輝く。

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セパ同日優勝の1958年、日本シリーズ第7戦紙面が面白い~西日本スポーツ復刻版を堪能

新聞業界のセミナーに参加してきた。新聞のいいところもあるんだがなあ、生かしきれてないなとモヤモヤ……気分転換にスポーツニュースでも見るか、とニュースウォッチ9のスポーツコーナーをチェックした。するとセ・パ両リーグの「同日優勝」の可能性に言及していた。1958年の巨人と西鉄以来だという。


新聞制作者にとって優勝紙面は一大イベントだ。特に筆者は野球狂だから担当させてもらえるなら鼻血が出そうな勤務だが、ナイターともなれば実際は時間的にタイト。鼻血ブーというよりはわき汗びっしりの展開なのだ。ともにマジック1で迎えたきょう9月16日、ソフトバンクも広島も阪神戦もデーゲームなのでだいぶ楽だ。


仮に同日優勝なら恐らく各紙見開きの展開。両面カラーを確保できるのか、片面はモノクロにせざるをえないのか。だとしたら広島とソフトバンク、どちらをカラーにするのか。気になる話だ。筆者は単にソフトバンクファンゆえ無条件で(しかもセ・リーグでは30年間巨人ファンだから)こちらをカラーにしてもらいたい。カープは去年も優勝しているし、逆にソフトバンクは2年ぶりだからこちらに花を持たせてもらいたいものだ。


同日優勝でも西日本新聞はもちろんソフトバンク中心、中国新聞ならもちろん広島中心なのは間違いない。気になるのはスポーツ紙だがまあ広島連覇が多く扱われるのではと見ている。


このうちデイリーは大阪並びに全国的には阪神目線で広島連覇を報じ、広島近辺ではカープ寄りの展開だろう。デイリーみたいに分かりやすい立ち位置というのはエッジが利いている。コンテンツ乱立のネット時代にも耐えうる立ち位置である。


じゃあ黒柴スポーツ新聞はというと前回同日優勝だった1958年にフォーカスする。実は宝物があるのだ。1958(昭和33)年10月22日付の西日本スポーツ復刻版。西日本新聞が出した「鉄腕伝説 稲尾和久 西鉄ライオンズと昭和」の付録である。

鉄腕伝説 稲尾和久―西鉄ライオンズと昭和

鉄腕伝説 稲尾和久―西鉄ライオンズと昭和

復刻版というか実際はコピーなのだが、本物の新聞と同じ大きさだ。前日の10月21日は巨人と西鉄日本シリーズ第7戦。そう、なぜ10月22日付紙面が復刻されたかというと稲尾和久が燦然と輝いた「3連敗4連勝」の歴史的なシリーズだったからだ。稲尾和久は7試合中6試合登板、サヨナラホームランまで打つ活躍で大逆転優勝に貢献。あの「神様、仏様、稲尾様」の名文句が作られた。この本は稲尾和久追悼で作られたのだった。

神様、仏様、稲尾様―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

神様、仏様、稲尾様―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

10月22日付の西日本スポーツは6ページ。復刻版はうち裏表一枚だ。1面題字下の一番でかい見出しが「西鉄三連敗 奇跡の逆転優勝」。何と赤い「カラー見出し」である。1958年当時としては大胆な手法だろうし、いかにビッグニュースだったかがうかがい知れる。


ものすごく細かい所に気がついた。1958年の両リーグ順位表(紙面上では勝敗表)が面白い。パ・リーグは10月8日現在 全日程終了となっているがセ・リーグは10月19日現在 第28節と書いてあり、巨人と広島の残り試合数が共に「2」になっている。1958年の巨人成績は77勝。この勝敗表では75勝だからあと2つ白星を積んだようだ。裏をとりきれていないが、おそらくシリーズに公式戦終了が間に合わず、後で2試合行ったようだ。(このあたりご存じの方はぜひ教えてください)


もうひとつ、面白かったのが新聞の値段。月決め200円。1部は何と7円! 今のスポーツ紙のおよそ20分の1だ。ちなみに1955年の稲尾和久の契約金は50万円、月給3万5千円。初年度はうち2万円を実家に仕送りしていた。親孝行である。ちなみに同期入団の畑隆幸の契約金は400万円だった。稲尾和久は努力して畑を凌駕する。そう、今だって入学時や入社時の評価がすべてではない。努力して化ければいいだけだ。

見出しでもうひとつ気がついた。白黒写真に「球史空前の偉業成る」と白い明朝体の見出しが焼き込まれている。繰り返すが1958年である。素晴らしい。スポーツ紙と一般紙の違いはあれど、一般紙でも1958年に負けているようではいけない。見せ方も日々進化していかないと読者は飽きてしまう。


読み物は稲尾和久にフォーカスしたもの、三原脩監督の手記(もしくはインタビュー)、第7戦の振り返り、試合終了直前から表彰式までの描写、表彰選手一覧、シリーズ戦績と記録性が高い構成。野球マニアにはたまらない。

魔術師〈上〉―三原脩と西鉄ライオンズ (小学館文庫)

魔術師〈上〉―三原脩と西鉄ライオンズ (小学館文庫)

なんでもかんでも古い紙面が売り物になるとも思えないが、節目の紙面は十分商品になるなあとあらためて感じた。当時の紙面が付録になっているのは記憶にない。興味がある方はぜひこの「鉄腕伝説 稲尾和久 西鉄ライオンズと昭和」をどうにか入手して復刻紙面をお楽しみください。


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日本ハム、功労者・武田久にも容赦なく引退勧告~現役続行を模索したプロ野球選手たち、例えばカトケン

また一人、日ハムのV戦士がチームを去る。武田久が引退勧告を拒否し、現役続行を模索しているという日刊スポーツ記事を見た。


社会人的には考えどころである。武田久は最優秀中継ぎやらセーブ王にも輝き、チームに貢献してきた。ファイターズ一筋15年。引退勧告に「はい」とさえ言えば、うんとうなずきさえすれば引退試合が開いてもらえるクラスの功労者だ。もしかしたらコーチなどの打診もあったかもしれない(これは想像なのだが)。


しかし武田久が選んだのは現役続行。まだまだやれるという自負なのか。やりきっていない不完全燃焼なのか。

2016年にも似たようなケースの選手が2人いた。巨人の加藤健とヤクルトの田中浩康だ。


加藤健は地味中の地味だが、抑え、控えのキャッチャーであり続けたことでスルメのような味わいを醸し出していた。ある種、愛されていた。プロ18年で出場185試合を少ないと言うなかれ。むしろそれで18年も巨人にいたことの方が奇跡である。ホームランは通算3本。打点24。味がありすぎる。

この加藤健が巨人から戦力外通告を受けたが、何と球団にポストを提示されながら現役続行の可能性を求めてトライアウトを受けた。巨人ファンはエエッ!と驚愕しつつも心の中では拍手を送っていた。カトケン、男やん!と。
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だいたい1年平均10試合しか出なかった選手にポストを用意するのだから、よほど巨人は加藤健の価値を見いだしていたに違いない。加藤健もうれしかっただろう。そこを、あえて退団。冒頭の武田久(いつの間にか加藤健が主語の記事になっていた……)といい、プロ野球選手にとって現役生活というのはよほど魅力的なのだろう。


だがやはり考えどころである。運がよければ楽天に入り直せた久保裕也とか、ベイスターズに入り直せた田中浩康みたいにもうひと花咲かせられる。田中浩康だって将来的にはヤクルト幹部の道もあっただろう(この線はまだ消えてなさそうだが)。それを蹴ってベイスターズに入り2017年、通算300犠打を達成した(新井宏昌と並び日本歴代5位タイ、9月11日現在、NPBのHPより)。
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別に犠打のために現役続行にこだわったわけでもなかろうが、現役を続けたからこその数字だ。この通算犠打、田中浩康を地味に細川亨(ソフトバンクから楽天に移籍)が追っているのも面白い。

だが戦力外通告を受けてなお現役続行できるのは、ほんの一握り。加藤健はどこからも声がかからず引退。故郷、新潟のアルビレックスのフロント入りした。これはこれで素敵な選択だったのだけれど。戦力外通告という番組が成立するくらい、大方の選手には無職などリアルに厳しい現実が待ち受けている。


それでも。


武田久はそういう心境なのか。少ないかもしれない可能性を求める生き方。誰もができるわけではないからこそ、ちょっと応援したくなる。


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エースのミスも修正できるカーリングのスイーパー~平昌五輪の女子日本代表はLS北見に決定

2017年9月10日、カーリング女子の平昌五輪日本代表にLS北見が決まった。代表決定戦で中部電力を3ー1で下した。


カーリングの知識は並だから、今回も、野球でいうエースの「スキップ」藤澤五月(LS北見)と松村千秋(中部電力)のプレーの精度が勝敗を分けると見ていた。


それは間違いでもないのだが、スポーツニュースの映像を見て気が付いた。第4エンドだったか、うまくいったショットなのに、藤澤五月の表情が浮かない。これはミスショットなのか?と思いきや、ストーンは狙い通りに円の中心部へ。あれ?


そう、スイーパーが持っていったのだ。スイーパーはブラシで氷の表面をはく人のこと。カーリング協会のHPを見たが、ざっくり言えば、はくと進みがよくなる(興味がある方はぜひHPをご覧ください。雑学満載です)。つまり、藤澤五月のショットは最初弱くて目標地点に届かなそうだったのを、スイーパーがストーンの進みをよくして、距離を伸ばしたのだった。

当たり前だが、カーリングのストーンは一度手放したら「しまった!」と思っても取り返しにはいけない。社会人の仕事も同じ。やり直しがきかないことがいっぱいある。


一方で、何とかなる、何とかしなければいけないこともたくさんある。そういう時こそスイーパーの出番である。トラブったらまずは出来るとこから復旧。チームなら手分けしてリカバリーするのみだ。こういう時こそチームワークが問われるし、先輩ならばスマートに後輩のフォローをしたいものだ。ちなみに1試合でスイーパーがはく距離は2キロにもなるという。チームのために作業する人がいるからこそチームが勝つ。


カーリングの日本代表はチームで選ばれる。もしかしたらドリームチームを作るなら、いったん各チームをばらして人選し直したらどうかとも思った。が、やっぱりチームワークが問われる競技だからこそ、チームとして代表に選ばれるのがよいと思い直した。今回のLS北見を見ていたら、それがよく分かった。


LS北見カーリングの元祖アイドル?の本橋麻里が作った。別にアイドルみたいにはかわいくないのに勘違いしてるという声もあった。そんな時間があるなら練習したまえ的な指摘もあったようだ。が、自分でチームを作るのは見かけの華やかさの割に大変だっただろう。実際、今回のオリンピック出場決定まで7年もかかった。

その本橋麻里は今回控えに回っていた。本橋は2回オリンピックに出ている。その人が出なくても若手が十分な活躍をしてオリンピック出場をつかんだ。本橋がオリンピックの試合に出るのかは分からないが、たとえ勘違いと評されようとわが道を進みきった本橋はエラいなあと思った。


藤澤五月は2015年に中部電力から移籍してきた。今回は古巣との対決に周りがフォーカスしすぎたが、野球で言えば別所毅彦が南海から巨人に移籍したのと同じだ(え、古すぎて分からない?)。強豪の間での移籍。葛藤もあったはずだが、藤澤五月はカーリング選手としてレベルアップするための決断だと言っていた。オリンピック代表決定戦が古巣の中部電力戦というのはドラマチックな展開だった。今回の勝ちは藤澤五月にとっても自分の決断が正しかったと思える出来事になった。そう、決断が間違ってなかったと思うためには結果を出すしかない。


藤澤五月はチームの命運を握るスキップだからプレッシャーも相当かかる。オリンピックはさらに重圧がかかるだろう。だがチームメイトの吉田知那美は同い年であり、NHKサンデースポーツでやっていたが、すでに代表決定戦でも藤澤を上手にフォローできていたそうだ。同じチームに相談相手がいることは本当に心強いものだ。


冬季五輪は夏のオリンピックに比べると地味だ。しかしマニアックな面白さにあふれている。カーリングはその最たるものかもしれない。思えば筆者が初めてカーリングを見たのがトリノオリンピック。予備知識なしで試合を見たが日本が勝ったこともありにわかファンになったものだ。その後、取材でその試合に出ていた小野寺歩さん、林弓枝さんに会えた時は「この仕事をしていてホントによかったなぁ」とミーハー全開だった。こうした先輩たちが道を切り開いたからこそ、今の日本カーリング界の人気と実力があるというものだ。 

カーリング魂。

カーリング魂。

ミーハーにもなっていないという方には映画「シムソンズ」をおすすめする。今のカーリング界も美人選手ぞろいだが、この映画はカーリングに取り組む女子たちのストーリー。出演は加藤ローサら。興味があればぜひ平昌オリンピックまでにご覧ください。きっとよりカーリングが楽しめるはずです。

シムソンズ [DVD]

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いまやなでしこJAPANの話題も激減。スポーツはやっぱり結果がものを言う。メジャースポーツへの道のりは険しいものだ。カーリングはここらでメダルをとれば一気に花開く可能性はある。卓球、バドミントン、陸上男子100に続き、ぜひ花形競技の仲間入りに期待したい。

2000安打の鳥谷敬がプロ野球ファンに愛される理由

阪神鳥谷敬が2017年9月8日、2000安打を達成した。ヤフコメではお祝いコメントばかり。黙々と取り組んできたことが評価されている。


うれしいのか、悔しいのか、鳥谷敬の表情は読めない。プロだからいちいち顔に出さないのかもしれないが、顔に出す人もたくさんいる。


王貞治長嶋茂雄両監督は分かりやすい。だからよくダグアウトの表情がテレビカメラにとらえられていた。ファンサービスと言うよりは、この人たちは正直だから顔に出てしまうのだろう。


同じように、鳥谷敬も顔に出すのが「できない」と見た。誰もが表情豊かな訳ではないのだ。


かくいう筆者も実は表情が乏しい自覚がある。親しい人にもよく指摘されてきた。「何を考えているのか分からない」と。何も考えていない訳ではない。ちゃんと考えている。うれしい時もある。それが表情豊かな人みたいに上手にできないだけだ。素直に喜怒哀楽が出せる人を、うらやましく思う。


何が言いたいかと言うと、鳥谷敬のクールな表情は、あれはあれでいい、いや、あれこそが鳥谷敬の味なのだ。


鳥谷敬はキャプテンも務めた。キャプテンは2タイプある。言葉で引っ張るか、背中で引っ張るか。ロッカールームでは知らないが、鳥谷敬はべらべらしゃべる人という印象がない。プレーでチームを引っ張ってきた。2000安打というのはその結果でもある。


名門・阪神において生え抜きの2000安打が鳥谷敬で2人目(初の到達は藤田平)というのは意外。しかし名門ゆえにプレッシャーがあったり試合に出続けることができなかったり、選手生命が長期化されなかった面があるのかもしれない。


また、鳥谷敬の2000安打のもう一つの価値は若手の北條史也の台頭を受け止めながら達成した点にある。ショートの定位置は譲ったものの三塁手として試合に出てヒットを重ねている。守備も相変わらず秀逸だ。


鳥谷敬早稲田大学卒。1年目から将来を嘱望され使われ続けてきた。連続フルイニング出場は歴代4位の667試合で途切れたものの、連続試合出場は2004年9月9日から継続中である。(きょうで1877試合)。


特に今年は巨人戦で顔面に死球を食らったため、これは連続試合出場が終わったなと思った。何せ鼻から流血してグラウンドを後にしたからだ。あんな硬い球が顔に当たったのだ。ダメージが小さいはずがない。


それでも鳥谷敬は翌日、まさに不死鳥のように試合に出てきた。顔面には鼻を覆うフェイスガードを着けていた。サッカーの宮本恒靖が着けたアレだ。


かつて日本歴代1位の2215試合連続出場を達成した衣笠祥雄西本聖死球を食らい記録ストップが危ぶまれた。この時も、代打ででも出てきてとりあえず打席に立ってたら連続試合出場は継続する。しかし、それでは意味がない。衣笠祥雄は三振したもののフルスイングを貫いた。同じように鳥谷敬も代打で出てきたが内野ゴロを全力疾走。鼻が折れているのだから痛くないはずがない。この時も表情に出さないのがカッコよかった。


まあこう考えるといちいち顔に出さないのも悪くはない。ちなみに先日、日刊スポーツ記事で見たが広島のジョンソンはイラつきを態度に出す悪癖があるという。味方のエラーの後、頭を抱えてしゃがみこんだのだ。気持ちは分かるが社会人的にもこれはいただけない。筆者も未熟ゆえついつい、いらだちや後悔を表情に出してしまう。気を付けよう。そう、弱さは顔に出さず、クールな表情をしながらコツコツ取り組み結果を出すから鳥谷敬はカッコいい。これこそが鳥谷敬プロ野球ファンに愛される理由だ、と筆者は見ている。


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300勝で事故死したスタルヒンとシーズン最多セーブ確実のサファテ~9月4日は「史上初の300勝」達成日

きょう9月4日は、スタルヒンプロ野球史上初の300勝に到達した日。1955年のことだ。

300勝。いまや200勝でも青息吐息なのにプラス100勝。記録した人はプロ野球に6人いる。

金田正一400勝
米田哲也350勝
小山正明320勝
鈴木啓示317勝
・別所毅彦310勝
スタルヒン303勝


いまや20勝するのは稀。それを15年続けないと300勝にはならない。


いまや15勝できたらエース格。その座を20年守らないと到達しない。それが300勝だ。


スタルヒンが300勝を達成したのが9月4日と書いたが、7月28日に達していた、という話がある。実は戦前は記録員の主観で勝ち投手が記録されたりしていたので、見直しの結果、スタルヒンはシーズン最多勝42勝が40勝とされた時期があったのだ。この差2勝分、7月の達成が9月と伝えられているわけだ。


いったいどんな勝ち方をしたら300勝もできるのか? 年度別勝利数を見てみる。

1勝
28勝
33勝
42勝
38勝
15勝
26勝
10勝
6勝
1勝
8勝
17勝
27勝
11勝
6勝
8勝
11勝
8勝
7勝


巨人入団2年目から5年目が特に充実している。特に1939年は68試合登板、38完投。投球回数は458回と3分の1。今のエース二人分だ。


スタルヒンロシア革命後に亡命してきた。ゆえに戦時色が濃くなると「須田博」と改名する(させられた?)。今よりも国際的でない時代にスタルヒンはよくチーム(巨人)のために頑張ったなあと思う。もっとも、日本には子どもの頃からいるから本人的には外国人扱いされたくなかったかもしれないが。

と思ったらスポニチ記事で、スタルヒンが戦後巨人に戻らなかったのは巨人でいじめがあったから説を見つけた。今は各球団、外国人選手とうまくコミュニケーションを取っているように思えるが、昔は違ったのかもしれない。

スタルヒンがどんなピッチングフォームだったのかは知らない。しかし剛速球で捕手の吉原正喜は受け止めるのに難儀しあざを作りまくったという(ベースボールマガジン社「宿命の巨人・阪神戦」吉原正喜紹介文より)。

巨人軍最強の捕手―伝説のファイター吉原正喜の生涯を追う

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スポニチ記事によればテレビ局の解析によりスタルヒンは153キロの球を投げていたらしい。身長は191センチ。


これらからイメージしたのはソフトバンクのサファテ。サファテは身長193センチ。もしもサファテが完投してたら、そりゃ打てん。1シーズン投げ切ったら42勝行くかもしれない。

サファテは年俸が5億円という。2017年はプロ野球のシーズンセーブ数新記録は間違いない。だから5億円を高いなんて思わない。それくらいの価値は十分ある。

スタルヒンも時代が違えば5億円くらいもらっていても不思議じゃない。しかし最期はあまりに悲しかった。今から60年前の1957年、運転していた車が電車に追突。そのまま亡くなってしまった。


サファテはこんなことないだろうが、引退後にチームに残りやすい日本人選手と違い、外国人選手は契約満了イコール、さようなら、だ。サファテはどれだけ通算セーブ数を残すか分からないが、いつかはチームを去るのだろう。分かってはいるがさみしい話だ。

300勝もしたスタルヒンでさえ、もはや記憶と歴史の彼方にいる。だがこうして記録を掘り起こすことでスタルヒンはよみがえる。今のペナントレースをアツく語るのも楽しい。だがたまに名選手に思いをはせるのもまたプロ野球の楽しみの一つだ。これからも今と過去、行ったり来たりしながら野球を楽しもうと思う。スタルヒンに興味をもったら、ぜひいろいろ調べてみてください。
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強い組織はミスした人を柱に据える~大阪桐蔭、新主将に「一塁事件」の中川君

新主将候補、という記事は見ていたが満場一致だったそうだ。大阪桐蔭の中川君が新チームのまとめ役に選ばれた。


史上初の2度目の春夏連覇を狙った大阪桐蔭旧チームで主軸だった中川君。しかしあの仙台育英戦でのゲームセット間際の一塁踏み損ないから敗戦につながってしまった。打つ方では活躍していただけに、まさに天国から地獄への転落だった。


組織内において、ミスをした人の扱いは大きく二通り。傷を最小限に食い止めるべく「隔離」するか、成長させて取り返させるためあえて「戦力」にするか、だ。


大阪桐蔭の新チームだって、旧チームに負けないくらいタレント集団だ。いい2年生が残っているからあの敗戦を糧にできる可能性は十分ある。


満場一致、というからには選手間か何かで選出されたのだろう。後継指名や監督からの指名ではなく。だとしたらミスした中川君に新チームの舵取りを任す、ということは新チームとして「ヤツと一緒に成長しよう」という意図だ。


こういうことができる組織は強い。弱いチームならリスクが犯せない。目先の取りこぼしをしないことに気をとられ、ミスした人は怖くて二度と起用できない。


あとは、あの中川君のミスが偶発的なことだった、というのもある。もちろんベースを踏んだ上で送球を捕っていたらよかった。捕って踏めたらよかったけれど、そこにベースがなかった。そしてドラマが起きてしまっただけなのだ。


外部の人間がとやかくいうほど、中川君の主将選出はドラマチックなものではないのかもしれない。ついついそういう目で見てしまうが。


ミスが人を成長させることは、ある。近藤唯之著「プロ野球 運命を変えた一瞬」に書かれているが、284勝を挙げたサブマリン、山田久志能代高校時代、サードを守っていた。そして2年生の夏、秋田大会決勝9回ツーアウトから一塁に悪送球。サヨナラ負けを喫した。

責任を取るつもりかけじめか逃げ出したい心境だったのか、山田久志は監督のところに行き、やめたいと申し出た。そこで監督はまさかの「投手転向」を命じる。


悪送球した野手を投手に起用する。大胆な発想だ。奇想天外だ。ショック療法か、山田久志に投手としての素地があったのか。


しかしこれが大当たり。最後の夏も甲子園には行けなかったが山田久志はピッチャーとして着実に歩んでいた。もしもあの時、山田久志が悪送球していなかったら284勝投手は現れなかったのか。だとしたら阪急の黄金時代はなかったことになる。

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

ミスをしたくてする人なんていない。山田久志は一度はあきらめた野球を極めて大投手になった。ミスを糧にできるかはその後の努力次第なのだ。


投手になってもなお、能代高校時代の山田久志の背番号は「5」だったという。


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ミスは自分で取り返すのみ~花咲徳栄の岩瀬君、同点打献上もサヨナラ負け防ぐファインプレー

9回裏というのはなぜかくも尋常でないパワーが発揮されるのか。応援する人にしてみれば8回までにそれやってよと言いたくなるだろうが9回裏は魔法がかかったように連打が出たりする。第99回夏の甲子園も最終回はドラマ満載だった。


敗れはしたが天理のねばりも立派。一発出ればサヨナラまで持っていったのはさすが。それは決して絵空事ではなかった。前の試合にホームランの1大会最多記録となる一発を放った山口君が打席に立ったからだ。


しかしフルカウントから低めに沈む球で仕留めた広陵バッテリーが一枚上手だった。個人の1大会最多本塁打新記録を作った中村奨成君にどうしても注目が集まるが、あそこで空振りを取る投球もさすがだった。


そう、きょうは中村奨成君の新記録の日なのだがリアルタイムで見なかったこともあり、別のプレーが心に残った。二つのショートゴロに。


花咲徳栄東海大菅生の9回裏、ツーアウト一、二塁から東海大菅生の打者の打球はショートゴロ。ただし強烈な一打だった。ショート岩瀬君はたまらず弾いた。しかも外野へ。ボールが転々とする間に一塁ランナーの上林君(ソフトバンクホークス上林誠知の弟)が激走しタッチをかいくぐり生還。9回ツーアウトから同点になった。

大阪桐蔭の一塁の一件といい、ドラマは人の心を揺さぶるが当事者は大変だ。さらに東海大菅生がサヨナラ勝ちでもしたら、花咲徳栄の岩瀬君は言葉はきついが「戦犯」になるところだった。別に花咲徳栄を応援していたわけではないのに、思わず念じていた。「頼む、とりあえずサヨナラだけは……」。花咲徳栄は後続を断ち延長戦に持ち込んだ。


しかしまたもや10回裏に東海大菅生は得点圏にランナーを進める。そして打球はまたもやショートへ……

岩瀬君はレフトへ抜けようかというゴロに飛び付いた。そしてすぐに起き上がり一塁に送球。間一髪アウト。ボテボテのゴロだったからあのままレフト前ヒットになったとしても二塁ランナーはホームに帰れたかどうか分からない。しかし内野安打であればランナーは三塁に進みサヨナラの確率は高まった。最悪の場合はボテボテのままレフト前に達し東海大菅生の持ち前のアグレッシブな走塁が奏功したらサヨナラ負けだったかも。岩瀬君にしたらあれは死んでも捕ろうという打球だったのだ。


高校野球、甲子園は一発勝負。一個のミスが勝敗を分け、チームメイトの人生さえ変えかねない。花咲徳栄は初の決勝進出までアウトあと一つだった。それを自分が打球をさばけなかったことで同点に追い付かれてしまった。こんな大事件は挽回できるチャンスなどまあない。ほとんどの球児はミスを取り返せないまま甲子園を去るのだ。


そこへギリギリの打球が岩瀬君の方向に飛んできた。岩瀬君はど根性でこれに食らいつき、一塁にナイス送球。映画のような紙一重のアウトに一塁塁審もアウトのコールを興奮しながらしているように見えた。


ここで何がカッコよかったかって、岩瀬君の表情。ムスッとしながらダグアウトに走って帰ってきたのだ。


タイミングとしてはビミョーだったが最悪サヨナラ負けするピンチを防いだのだから、もっと威張っていいはず。しかしそもそも延長に入ったのはオレのせいなんだから自分でケツふくわばりの気持ち、意地に見えた。岩瀬君、カッコいいぞ!


そう、ミスをしない人なんていない。大事なのはミスをした後だ。高校球児同様、就職活動中の学生も、社会人も、一発勝負の局面はけっこうある。やり直せるものならやり直したいなあなんて場面はいっぱいある。だが残念ながら挽回したくてもできないことがほとんどだ。難しい仕事をしている人ほどそうだ。


だが神様の味な演出で挽回のチャンスがめぐってくることはある。その時に下を向いていてはそれを見逃してしまうだけ。取り返せる可能性を信じて、求めて、準備をしている人だけがチャンスに気付いて、まずはミス挽回にチャレンジできる。岩瀬君は見事に挽回できた。


これで流れが来たのか花咲徳栄は集中打で勝ち越して、見事初の決勝進出を決めた。


甲子園で痛恨のミスをした選手にも、実はその後の人生でいつか、岩瀬君に向かって飛んできたような「2回目のショートゴロ」はあるのかもしれない。それをさばけるかどうかで心持ちはずいぶん変わるはずだ。ミスは厳密に言えば帳消しにはできないけれど、備えて、取り返そうと思ってさえいれば、取り返せることはある。岩瀬君は実際にそれをやって見せてくれた。もしかしたら打球よ、こっちに飛んで来い!くらいに思っていたかもしれない。


やってもうたな、なんてことは、ないにこしたことはない。しかしやってしまった時はあの岩瀬君のど根性ダイビングを思い出そう。そして取り返しに行こう。結局ミスを取り返せるのは自分だけなのだから。


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打たれた大阪桐蔭・柿木の肩を抱いたエース徳山~第99回甲子園・仙台育英戦で春夏連覇の夢散る

野球はツーアウトからと言うがまさかファーストミットの中にボールが収まっても試合が終わらないとは。それどころか、次の打者が試合をひっくり返す逆転サヨナラタイムリー。まさに最後まであきらめてはいけない。第99回夏の甲子園大阪桐蔭との試合で仙台育英が奇跡を起こした。

仙台育英準優勝―2015夏の甲子園

仙台育英準優勝―2015夏の甲子園

かねがね思っていた。高校野球の最後の打者による一塁へのヘッドスライディングは高校野球からの卒業儀式なのじゃないかと。さわやかに駆け抜けるのではなく、土ぼこりを巻き起こし、泥まみれになり、エネルギーを放出させてのフィニッシュ。悔しさ必死さも全開で、ビジュアル的には完璧な終わり方だ。


大阪桐蔭仙台育英もそうなるはずだった。実際、ビミョーなタイミングであれば、ヘッドスライディングした打者走者はすがるような目付きで塁審を見るはず。しかし彼はうつむいていた。


高校野球をしていた人に聞いてみたいが、やはりあそこは一塁でアウトを取るのか。というのも、ネット上で、一塁手セカンドでアウトを取ると思った(ので一塁についていなかった)のではという指摘を見つけたから。一塁送球で試合を締めるのは、ヘッドスライディングしてくる打者走者への「介錯」の意味があるのかなと。恐らく野球が好きな人であれば死ぬほど見ている一塁への最後のヘッドスライディング。その脳への擦り込みが一塁に投げさせたと筆者は見ている。


大阪桐蔭のまさかの負け方にみんな「甲子園の魔物だ」と騒いでいる。面白がっているようにも見えるがこれはこれで一塁手を救っている。一塁手なのに一塁を踏み忘れかよ、という指摘は筆者は見つけられていない。そう、きっと甲子園で成仏できなかった歴代ラストヘッドスライディンガー(グライシンガーみたいだな)たちが魔物と化し一塁手と一塁ベースにほんの少しのすき間を作った。それがドラマの布石だった。

ただし魔物が作ったのはあのすき間だけ。これまたネットの書き込みであったが「あそこで打てる気がしない」、つまり、サヨナラ逆転タイムリーは必ずしも打てるわけではないのだ。だが打たれた大阪桐蔭の2年生投手・柿木君を責めるより、打った仙台育英の馬目君を誉めたい。あそこで柿木君が直球勝負を挑むところが成熟しきれていない2年生なのかなとも思う。歴戦の強者・エース徳山君なら落ちる球で空振りを奪っていたのではないかと。


ただし、野球でタラレバを言い出したらキリがない。筆者が何に感動したかって、甲子園を去る前の徳山君の姿。ダグアウトの前に並んだ時、打たれた柿木君の肩を抱いていたのだ。


徳山君にしてみたらマウンドに立たずして高校野球生活が終わった。9回二死までは、次の試合で投げる可能性があった。彼の高校野球生活は突然終わった。周りに気遣いができる心境ではないだろう。


だが同じ投手だからこそ、打たれた柿木君の気持ちが分かったに違いない。ましてや上級生。だから当たり前に接していただけかもしれない。柿木君にしてみたら自分が選手生活を断ってしまった3年生にフォローされたらそりゃ泣かずにはいられない。二人ともオイオイ泣いていた。


あまりに強すぎて好きじゃなかった大阪桐蔭。徳山君も自信満々に見えるところがあまり好きではなかった。だけど最後の最後に印象が変わった。めっちゃいいヤツやないか、と。


こうなると仙台育英が勝ち上がるのかなと思うが意外なことにまだ仙台育英は夏に優勝したことがない。昔、大越基がいた時は応援したなあと思い出した。果たしてあの魔物がやったことは仙台育英初優勝への布石なのか。実力だけでも勝てない甲子園。運も味方した仙台育英には十分王者になる資格がある。

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